メルセデスのトト・ウルフ代表は、イタリアGP決勝で他車と接触しながらも非を認めて謝罪したルイス・ハミルトンの誠実さを称賛している。

 ハミルトンはマクラーレンのオスカー・ピアストリとポジション争いを繰り広げていた際、モンツァの第2シケインで抜き切る前に進路を変えてしまったためにハミルトンの右リヤとピアストリの左フロントが接触。このアクシデントによってピアストリはフロントウイングを破損し、ピットインを余儀なくされた。

 ハミルトンには、この接触を引き起こしたとして5秒のタイムペナルティが科された。

 当初ハミルトンはアクシデントの全貌を掴めず、チーム無線を介してピアストリがコーナー進入時にピアストリが死角にいたと説明していた。

 しかし何が起きたかを知ったハミルトンは自身のミスだと理解し、レース後すぐにピアストリへ謝罪を行なった。

 ウルフ代表は、自身のミスを認められるハミルトンの成熟度は現役F1ドライバーの中でも際立っていると語っている。

「彼はとてもスポーツマンシップに溢れている」

 イタリアGP決勝後、ウルフ代表はそう語った。

「私が見た中で唯一『僕が悪かった』と認めて言えるドライバーだ」

「我々は話をしたが、彼は右側を見ていなくて『自分の責任だ』と語っていた。みんなペナルティを受けないようにするため、いつも不平や不満を言っているけど、そういう彼のスポーツマンシップこそ称賛されるべきモノだと思う」

 またウルフ代表は、ハミルトンに非があったことは明らかで下された裁定に文句はないと語っている。

「あれはミスだった」と彼は言う。

「あれに対する5秒のタイムペナルティは“メニュー”に書かれている通りだと思う。こういうことは起こるモノだ」

「ここ(モンツァ)でオーバーテイクしようとすると激しいバトルになるし、これまでも何度か見られたことだ。だから、これは正しいことだ」

 ハミルトン自身は、自分がミスを犯したことに気づいてから謝罪に向かう上で二の足を踏むことはなかったという。

「明らかに僕のせいだったから、謝罪したよ」

 そうハミルトンは語った。

「当然のことだけど、それはワザとじゃなかった。僕は彼の横に並んでコーナーを立ち上がった。でも、マシンの右側にある隙間を見誤って、彼に当たってしまっただけだ。そういうことは、いつでも起きる可能性がある。でも接触が起きた後、それは僕のせいだったに違いないと分かったんだ」

「ワザとじゃなかったということを、彼に理解してほしかった。それが紳士のやることだよね」

 一方、接触を受けたピアストリはハミルトンの謝罪を受け入れると語った。

「(彼は)少し右に寄り過ぎたと思う。でも、あのコーナーではそういうことが起こりやすい。非常に狭いコーナーだからね」とピアストリは言う。

「彼は僕のところに来てくれて、謝罪してくれた。それ以上のことはないと思う」