メルセデスのトト・ウルフ代表は、現在圧倒的な強さを誇るレッドブルに対し、2024年シーズンにより差を縮めることができると確信しているようだ。

 今季のメルセデスのマシン『W14』は、期待されていたような進歩を遂げることができなかった。そしてシーズン前半の段階で、彼らはマシンコンセプトに誤りがあったと認めてシーズン中にそれを変更。2024年シーズンこそレッドブルに追いつくことを目指している。

 ただレッドブルは2023年の開幕から連戦連勝を続けるなど、圧倒的なパフォーマンスを示していることを考えると、メルセデスに課された課題は非常に大きなモノにも見える。

 さらにレッドブルはその優位性から、シーズンの早くから2024年向けマシンの開発にリソースを割くことができ、その点でも彼らはアドバンテージを持っていると考えられている。

 F1の歴史から見れば、支配的なチームが現れるとその傾向は何年も続くことが多い。そして多くの場合、それが崩れ去るのはレギュレーションに大きな変更があった時だ。そして2024年にはレギュレーションが大きく変わらないため、レッドブルに追いつくという目標は、非常にレベルの高い要求になってくるはずだ。

 しかしそれでもメルセデスのウルフ代表は、2024年シーズンにレッドブルへ挑むことは可能だと考えている。彼は2023年シーズン開幕から躍進を示したアストンマーチンと、シーズン中に大きな改善を果たしたマクラーレンを例に挙げている。

「我々には、アストンマーチンやマクラーレンが成し遂げたステップをまとめて踏むことが必要なだけだと思う」

 2024年シーズンまでにトップとの差をなくすのは現実的かどうかを尋ねると、ウルフ代表はそう答えた。

「0.2秒を更新するのではなく、0.5秒更新することができれば、”ゲーム”に戻ってくることができる。つまり、可能だと思う」

 メルセデスはグラウンドエフェクトカーにおいてより成功を収めるためのコンセプトをより深く理解しており、来季マシンのW15の設計において多数の変更が加えられているとウルフ代表は言う。

 ただウルフ代表は、メルセデスとして全ての答えを持ち合わせているわけではないと認め、最善の開発経路を見つけるために、まだ多くの道を模索しているところだと語った。

「いくつかの方向性があると思う」

「それが分かっていれば、もっと簡単だったろう。ただマシンは非常に予測が付けづらく、グリップも欠いている。だから取り組むべきことがたくさんあるんだ」

「我々はF1には全てを解決する“特効薬”があると信じる傾向がある。だが必要なのは、マシンの中で全てのコンポーネントをまとめあげ、連携して機能させることだと思っている。ひとつのトピックを取り上げるわけではないんだ」