【MotoGP】ミサノ戦のスペクタクル不足にマルケス&エスパルガロが批判展開。原因は空力開発とレイアウト?
サンマリノGPは前述の通りマルティンが両レースを制しているが、表彰台の面子も2位マルコ・ベッツェッキ(VR46)、3位フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)という全く同じ顔ぶれとなった。
この2レース中、トップ3でのオーバーテイクはわずか1回。スプリントでベッツェッキがバニャイヤを追い抜いたモノだが、それもバニャイヤが走行ラインをワイドに膨らませてしまったことによる追い抜きだった。
スペクタクルの減少はこれまでも複数のライダーから批判されてきた。その原因には空力開発の過熱や、ライドハイト(車高調整)デバイス、さらにタイヤ内圧規則といったモノが指摘されている。
マルク・マルケス(レプソル・ホンダ)は批判的なライダーのひとりだが、彼はサンマリノGPのようなレースが、今の”標準”になっているのかと尋ねられると「そうだけど、これは何か新しいことというわけでもない」と答えた。
「仮に長いストレートがあれば、スリップストリームを使ってよりオーバーテイクは可能になる」
「だけどこのサーキット(ミサノ・サーキット)で必要になってくる要素は、ふたつある。ひとつはブラッド・ビンダー(KTM)がスプリントで見せたような動きだ。オーバーテイクはどれも限界といえるものだったけど、凄く難しいし、見ていて印象的だった」
「ああでもしないと追い抜けないんだ。例えば、ラスト3周で僕は1分33秒0で走っていたけど、マリーニ(ルカ・マリーニ/VR46)は1分32秒台で迫っていた」
「でも僕はただディフェンスしていただけで、彼にとってはそれでオーバーテイクが不可能になっていた」
「そして結局のところ、問題は空力になってくる……今のルールは2027年までだから、これを続けなくちゃならない。ルールが許している以上、皆がそうすることになる」
アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)は、オーバーテイクの少なさはミサノ・サーキットのレイアウトに依る部分もあるとしつつ、現代のバイクはこうしたコースに適していないと述べている。
「僕はレイアウト(が原因)だと思う」とエスパルガロは言う。
「このコースはとても小さいカート場のようでいて、グリップは高い。そして今のMotoGPは優れた電子制御が備わっていて、ウイングもあるから、オーバーテイクはほぼ不可能だ」
「僕はルカの後ろを走っていたけど、彼は凄く上手く走っていた。アレックス(マルケス/グレシーニ)やヨハン・ザルコ(プラマック)など前のライダーは僕よりも遅かったけど、彼らを追い抜くことはできなかった」
「このようなコースでは、とても難しいんだ。グリップのないコースもあれば、グリップの高いコースもあり、そして今回のように小さいコースもある」
「僕らはどこであろうとレースをしなくちゃいけない。だけどこういったタイプのサーキットは、僕は好きじゃない。ショーが無いからだ」
「とても退屈で小さいんだ。だけど走る場所は選べない。でも今のバイクではより大きなレイアウトが必要になっているのは事実だよ」
「今のバイクはダウンフォースがかなりついていて、コーナリングも凄く速い。だから小さなコースでは、こうして(オーバーテイクが)不可能になってしまうんだ」
なおサンマリノGPでポールポジション、スプリント勝利、決勝レース勝利の“グランドスラム”を達成したマルティンは、こうした見解に同意していない。
「たしかにここはオーバーテイクが難しいコースだと思う」とマルティンは言う。
「でもやれる場所はある。ただかなりの速さがある状態で、今回のトップ集団のような展開になるとかなり厳しいね。皆が1列に並んでしまうからだ。そして全27周を、どのコーナーでもプッシュしていたと思う」
「そうなるとより難しい。確かに、レースを遅くすれば、オーバーテイクも楽になるだろうとは思うよ」
「もちろん、オーバーテイク的にベストなコースではないのは間違いない。でも配られた手札でやるしかないし、先頭に出るために予選でより良い成績を収めないといけないコースだってあるんだ」