9月15日に開幕したF1シンガポールGPで、マクラーレンは大きなアップデートを投入した。これによりマシンのサイドポンツーンに大きく変化した。

 マクラーレンはサマーブレイク前のアップデートで大きくパフォーマンスを向上させていたが、依然として低速コーナーの弱点は残っていた。シンガポールGPではそれらの問題に対処するために、再び大きなアップデートが行なわれた。

 変更は様々な領域に及んでいるが、最も目立つのはサイドポンツーンだろう。今回のアップデートでマクラーレンは非常に深い“ウォータースライド”経路を持つサイドポンツーンを投入した。

 アップデートによりマクラーレンはサイドポンツーンインレットの形状とサイズを見直し、アンダーカットを維持しつつもサイドポッド上部に刻み込まれた非常に深い谷のようなエリアを作ることができた。

 サイドポンツーンに施されたこの変更は新しいエンジンカバーと連動し、空気の流れをより適切にコントロールし、フロアでより多くのダウンフォースを生むことを目指している。

 またフロアそのものも、アップデートされた。フェンス、フロアエッジが新しくなり、ディフューザーの形状が変更され、より多くのダウンフォースを稼ごうとしている。

 それ以外にもマシンの重要な領域にアップデートが行なわれている。フロントウイングとリヤウイングのエンドプレート形状が変更され、ヘイロー周辺の空力パーツも更新された。また市街地コースで高いダウンフォースが求められるシンガポールGPのために、ビームウイングにも変更が入っている。

 なおマクラーレンはこれらを含めたアップデートパッケージを、シンガポールGPでは1台分しか用意できなかった。結果として、ランド・ノリスのマシンに全てのアップデートが導入されている。オスカー・ピアストリのマシンにはアップデートの一部が導入されているが、彼が全てのパーツを手にするのは、次戦日本GPを予定している。

 ノリスはこのアップデートによって、これまで今季マシンMCL60が抱えてきた低速コーナーの弱点が改善することを期待していると話していた。そしてシンガポールGP初日、ノリスはFP1では4番手タイム、FP2では6番手タイムと好調なスタートを切っている。