サインツJr.がポール獲得! レッドブル精細欠きQ2全滅。角田裕毅Q1トップ通過もQ2不発で15番手|F1シンガポールGP予選
スコールなど突然の悪天候もあり得る赤道直下のシンガポールだが、今年のグランプリはここまで一貫してドライ路面でのセッションが続いた。夜も更けた現地21時から行なわれた予選は路面温度が35度、気温30度、湿度77%と蒸し暑いコンディションとなった。
18分のQ1では、各車がまずタイムを計測した段階でジョージ・ラッセル(メルセデス)が記録した1分32秒478が最速。フェラーリのシャルル・ルクレールが0.045秒差で続いた。
フリー走行で苦しむ姿も散見されたレッドブルのマックス・フェルスタッペンが1分32秒398でトップに浮上するも、すぐさま好調フェラーリのカルロス・サインツJr.が0.059秒上回った。
ここで全車がピットイン。コース上に誰もいない静かな状況となったが、残り3分を前に再び各車がコースイン。Q1最後のアタックを開始した。
ここでアルファタウリの角田裕毅は、1分31秒991でトップ浮上。走れば走るほど路面コンディションが改善していく中、2番手にセルジオ・ペレス(レッドブル)、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が3番手、リアム・ローソン(アルファタウリ)が4番手で続いた。
ただチェッカーフラッグが振られ、各車がラップを完了しようと最終セクターに殺到する中、ランス・ストロール(アストンマーチン)が大クラッシュ。最終コーナーで大胆に攻めた結果スピンを喫し、ストロールのマシンはホームストレート入り口右側のウォールに激しく打ち付けられた。ただ、ストロールは幸いにも無傷だったようだ。
このクラッシュにより、ストロールの後ろを走っていた多くのドライバーがタイムを更新できず。角田がトップタイムでQ1突破となった。
Q2はストロールのクラッシュに伴うコース修復&清掃により、当初の予定から30分ほど遅れてスタート。ここでトップに立ったのはフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)で、ユーズドタイヤを履くフェラーリのサインツJr.がその後ろで続いた。
メルセデス勢はコースインのタイミングをずらして空いたコースでアタックを実施し、ジョージ・ラッセルがアロンソのタイムを0.092秒上回って暫定トップタイムとなった。
この段階でフェルスタッペンはQ3進出ギリギリの10番手、チームメイトのセルジオ・ペレスはミスもあり11番手とレッドブルが2台揃って下位に沈んだ。
残り4分というタイミングで各車は一斉にピットアウトし、最終アタックを開始。フェルスタッペンは隊列の前方で計測を行なったものの、ターン3での修正が響きタイムは伸びず……ローソンがフェルスタッペンのタイムを上回ったことで、フェルスタッペンが11番手でノックアウト。ペレスも同様のコーナーでスピンを喫したことで13番手と、レッドブル2台がまさかのQ2敗退を喫した。
またアルファタウリの角田はQ2の1回目のアタックでフェルスタッペンに進路を塞がれ、ラップアボート。最後のアタックではターン14のブレーキングでミスし、ランオフエリアにオーバーランしてしまったことで万事休す。15番手でQ2敗退となった。
迎えた今季初のレッドブルのいないQ3。まずはハースのケビン・マグヌッセンが1分32秒396というターゲットタイムをマークし、それをアロンソ、ランド・ノリス(マクラーレン)が上回っていった。
このタイムに対してサインツJr.が1分32秒170を叩き出してトップへ。2番手ルクレールに0.251秒差をつけた。なお残りのタイヤセット数の関係で、最初のアタックではフェラーリ以外の全車がユーズドタイヤを使用。最終アタックが、ニュータイヤでの正真正銘のアタック合戦となった。
その最終アタックに向けて、残り4分を切るところから各車がピットアウト。サインツJr.は自身のトップタイムを更新する1分30秒984をマークした。
ルクレールもこれに追いすがるも、0.079秒及ばず……アタックのタイミングをギリギリまで送らせたメルセデスのラッセルは、セクター2で全体ベストタイムを記録するも、1周のタイムではサインツJr.に0.072秒届かず。結局前戦イタリアGPに続き、サインツJr.がポールポジションを獲得した。
フロントロウにはラッセルが並び、ルクレールが3番手。4番手ノリス以下は、ハミルトン、マグヌッセン、アロンソ、エステバン・オコン(アルピーヌ)、ヒュルケンベルグ、ローソンというトップ10のオーダーとなった。
なおフェルスタッペンは、Q1でピットレーンオープン時に出口でマシンを不必要に停めたこと、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)を妨害したことで、セッション後に審議が行なわれることになっている。また、Q2で角田のアタックを邪魔した件もセッション後の審議対象に。ドライバーズタイトル3連覇間近のフェルスタッペンが、タイム以外でも精彩を欠く格好となった。
審議の結果、ペナルティが科されなかったとしてもフェルスタッペンは11番手スタート。フェルスタッペンの11連勝という大記録樹立に黄色信号が灯った。またレッドブルが勝利を逃せば、史上初のシーズン全勝という記録達成の可能性も潰えることになる。