F1シンガポールで大いに苦しんだレッドブルのセルジオ・ペレスは、それでもなんとかスターティンググリッドからポジションを上げ、8番手でフィニッシュした。レース後、ペレスにはウイリアムズのアレクサンダー・アルボンと接触したとして5秒のタイム加算ペナルティが科されたが、最終的な順位に影響はあなかった。

 事故はマーライオンに近い、ターン13で起きた。ペレスはオーバーテイクを仕掛けようと、アルボンのイン側に飛び込んだ。しかしこのコーナーは実にタイトであり、2台は接触。ラインを外れたアルボンは、アウト側のウォールに突っ込むのを避けるためにタイヤをロックさせなければならず、4つ順位を落とし入賞を逃すことになった。

 ふたりはレース後にスチュワードに召喚され、聞き取り調査を受けた。その結果、アルボンは通常のラインを走っていたものの、ペレスは楽観的にイン側に飛び込んだと裁定。接触を避けるため、アルボンに出来ることは何もなかったと結論付けた。

 これによりペレスには、5秒のタイム加算ペナルティと、ペナルティポイント1が科された。ただ、後方のリアム・ローソン(アルファタウリ)とは13秒の差があったため、ペレスの最終順位”8位”が変わることはなかった。

 アルボンはこの一件でポイントを失ったと嘆いた。

「僕らはレースを完璧にやり遂げた。9番手を走っていて、リアムを抜いて8番手になろうとしていたところ、ターン13でチェコ(ペレスのこと)に突っ込まれてしまった」

「彼は僕にTボーンクラッシュしたから、そのままウォールにぶつかって、リバースに入れてそこから脱出しなければいけなかった。僕は13番手に落ちて、11位でフィニッシュすることになった。今日はポイントを獲得できるはずだったのに、そうはできなかった」

 なおこの出来事では、ローソンの存在も注目された。当時ローソンはペースの面でかなり苦しんでおり、アルボンはこのローソンにしかけるために少しワイドに走った。そのためペレスはオーバーテイクできると判断したと考えられたのだ。これに基づいて、スチュワードはペレスにはペナルティポイント1を科すのが適当だと判断した。

 なおアルボンも、ピットインしてコースに戻った際、バーチャル・セーフティカー中にペレスを抜いたのではないかとして審議対象となったが、これはお咎めなしとなった。

 これについてスチュワードは、タイミングシステムではどちらの車両がセーフティカーライン2に先に到達していたのか、明確に判断することができなかったという。そして、ビデオも決定的な証拠とはならなかったようだ。

 これについて両チームの代表者も、今後抗議するための行動を起こさないことを検討し、スチュワードもこれに同意したとみられる。