FIAは数ヵ月前からF1チームを増やすための入札プロセスを進めており、その中でも2025年または2026年の参戦を目指すアンドレッティが最も注目を集めている。

 パドック関係者によると、アンドレッティの入札は第一段階を通過しそうであり、早ければ来週にもFIAから承認が下りる見込みだという。

 FIAの承認が得られれば、この件は商業権保有者であるF1のステファノ・ドメニカリCEOに引き継がれ、さらなる議論が行なわれることになる。

 既存チームは、自分たちのビジネスモデルに影響を与える可能性があるとして、一貫して新規参入に反対する姿勢を示している。

 2020年シーズンに交渉が行なわれた現在のコンコルド協定では、新規参入チームは2億ドル(約295億円)を支払わなければならない。既存チームはそれぞれ2000万ドルを受け取るが、これは追加チームの加入によって発生する賞金損失を補填するためのものである。

 しかし、この2億ドルという数字は、過去にチームを買収するためにかかった費用、具体的には当時ウイリアムズの売却にかかった費用に影響され、決められたものである。

 それ以来、F1の人気上昇に伴ってチームの価値は急上昇しており、2億ドルでは十分な補償とは言えないと既存チームは考えているようだ。

 メルセデスのトト・ウルフ代表は、motorsport.comの取材に対し、アンドレッティ参戦が現実味を帯びてきたことについて次のように語った。

「FIA、FOM、そして10チームはこのスポーツを守る必要がある。この繊細なスポーツは、今まさに成長しつつあるところなんだ」

「だからこそ、我々は全員で正しい決断を下す必要があるんだ。FIAとF1がこのような決定を下す時は、チームの手を離れることになるが、私は(FIA会長の)モハメド・ベン・スレイエムとステファノがF1にとって正しい決断を下すことを望んでいる」

 マクラーレンのザク・ブラウンは、報酬額については議論すべき問題だと考えていることを明らかにした。

「我々の考えは変わらないと思う。そしてこのプロセスがどうなるかを見守るつもりだ」

「ひとつ言えるのは、5年前と比べてF1チームとエントリーの価値が上がっているということだ。このスポーツの価値は大幅に上がっているから、その要素について議論する必要があると思う」

 ハースのギュンター・シュタイナー代表も、F1が正しい判断を下すことを信じていると語った。

「ステファノは、我々の最善の利益のためにこの問題にどう対処すべきかを知っているはずだ」

「我々はFOMに信頼を置いている。ザクが言ったように、チームの価値は2020年にコンコルド協定を決めたときよりもずっと高くなっている。一部のチームがビジネスを続けるのに苦労し、基本的に何の価値もなかったころだ。市場は変わったんだ」

 アルファロメオ代表のアレッサンドロ・アルンニ・ブラビも、新規チーム参戦における財政的な側面を強調した。

「新しいチームはF1コミュニティ全体に付加価値をもたらすものでなければならないと考えている」

「そしてもちろん、新規参入チームは現チームが行なってきたすべての投資とその価値を認識する必要がある」

「ザクとトトが言及したように、ここ数年でチームの価値は著しく高まっている。我々は自分たちのビジネスを守る必要があるが、FIAとFOMが正しい決断を下すことを信じている」

「そうした特徴を持つ新チームを歓迎する準備はできている。しかし、長期的な視野に立ち、F1コミュニティ全体にとって何がベストなのかを理解することがまず必要だ」