FIAは、F1シンガポールGP予選でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が犯した妨害行為について、角田裕毅(アルファタウリ)を妨害したことで3グリッド降格ペナルティを受けるべきだったと認めた。

 重要なのはFIAが今後、シンガポールGPでのフェルスタッペンへの裁定を前例として使用せず、スチュワードが裁定を下す際に参照する過去のインシデントのデータベースから事実上抹消することを約束したことだ。

 フェルスタッペンはコース上で角田とローガン・サージェント(ウイリアムズ)のアタックを妨害した他、ピットレーンで前のクルマとの距離を開けようとマシンを止めたとして、計3件の審議対象となっていた。

 予選直後、フェルスタッペン自身も少なくとも1件はグリッド降格ペナルティを受けることを覚悟していたようで、角田の件に関しては非を認めていた。

 フェルスタッペンはmotorsport.comに、次のように話していたのだ。

「ああ、あれは良くなかった。僕は無線で何が問題なのか話していたから、角田を見てなかったんだ」

「彼が僕の後ろに来るまで、僕はそれを知らされなかった。これが僕の予選を要約しているんだ。それが僕の予選を端的に表しているよ。とにかく忙しくてめちゃくちゃだったんだ」

 結果的に彼はサージェントの件ではお咎め無しだったものの、角田とピットレーンでの件では戒告処分を受けた。さらに角田との件についてはチームからの無線がなかったため、情状酌量の余地があると判断され、チームに罰金が科せられた。

 22日(金)に鈴鹿で行なわれたチームマネージャー会議でもこの話題が取り上げられた。そしてシンガポールGPと日本GPでスチュワードを務めるマッテオ・ペリーニは、フェルスタッペンには角田の件で戒告処分ではなく、グリッドペナルティを科すべきだったと認めた。

 また、フェルスタッペンとは無関係だが、サージェントにもランス・ストロールとの一件でペナルティが科されるべきだったとされている。

 ペリーニは、フェルスタッペンへの裁定を今後前例として使用しないこと、接近してくるクルマに対する無線警告がなかったことを、より重い処分からドライバーを守るための”情状酌量の余地あり”と見なすべきではないということを認めた。

 一方でピットレーンでの待機は規則で明確に禁止されていないため、シンガポールGPのスチュワードは戒告処分という当初の決定を支持している。

 結果としてフェルスタッペンは、シンガポールGPで本来よりも3つ上のポジションでスタートしたことになる。そして最終的に5位となったことで、他車のポイントを奪った可能性があるだろう。

 予選で他車のアタックを妨害した場合、グリッドペナルティを受けるのはよくあるケースであり、フェルスタッペンにペナルティが出なかった理由について、何人かのチーム代表がスチュワードを訪れ、この問題について話し合っていた。

 スペインGPで2回の3グリッド降格ペナルティを受けたピエール・ガスリー(アルピーヌ)や、マクラーレンのランド・ノリスはこの件について不満のコメントを残している。

 特にノリスは”特定のチーム”との間で、何度もそうしたことが起きていると指摘している。

「多くの人がやっていることなのだから、ブロッキングにはもっと厳しいペナルティを科すべきだと思う」

「それはそのラップ、その人の予選を台無しにするものなんだ。ユウキはQ1で1番手だったのに、ノックアウトに追い込まれてしまった」

「ただ、誰も十分に気にかけていないようだ。今シーズンはそういうことが多い。僕にも何回かあったけど、特に特定のチームとそれが何度も起こっている」