マクラーレンは9月22日(金)、2024年のF1リザーブドライバーとして、平川亮を起用することを発表。シミュレータ開発や旧型マシンテストなどを通して、チームのサポートを行なうこととなった。

 現在、TOYOTA GAZOO Racingから世界耐久選手権(WEC)を戦う平川はスーパーGTやスーパーフォーミュラといった日本国内カテゴリーで活躍してきた経歴を持つこともあり、同郷ドライバーは今回の発表から大きな刺激を受けているようだ。

 今季スーパーGTとスーパーフォーミュラにトムスから参戦する笹原右京もそのひとり。日本から世界、そしてF1を目指すドライバーとして、平川の後に「続いていきたい」と語る。

 笹原は平川のマクラーレンF1リザーブ加入というニュースを驚きを持って受け止める一方で、日本人が世界に進出していく良い流れができていると考えている。

「ビックリですよ。もちろん、知らなかったですし、ニュースを見て驚きはありました」

 笹原は開口一番そう語った。

「でも、すごく良いことだと思います。リザーブや開発ドライバーのプログラムに入ったというだけなので(今後どうなるかは)分かりません。ただ、少しでも多くの日本人ドライバーが世界に進出していくというのは、僕自身が今も求めていることなので、自分にとって良いニュースですし、みんなにとっても良いニュースだったと思います」

 また、今回の件はスーパーGTやスーパーフォーミュラ、WECで結果を残すことができれば、F1への道が開けるという証明になるのでは? と笹原に尋ねると彼は次のように答えた。

「もちろん、世界中の関係者がどのレースで何を見ているかは分かりませんが、少なからず努力してくれば、チャンスを掴めるかどうかの場面やタイミングがやってくると思います。自分ではどうにもしきれない部分がありつつも、こうして可能性としてはどんどん広がっていると思います」

「僕自身、今までF1に出るためには絶対にFIA F2、FIA F3へ出なければいけないという考えがありましたが、特にこのコロナ(COVID-19のパンデミック)が起きてから色々とそういった可能性や幅が広がったように思います。そこからどれだけ可能性を大きく広げていけるかは、タイミング次第だと思います」

「ただ、前よりも色々な人にチャンスが与えられる瞬間は生まれつつあると思います。自分も良い刺激になりましたし、より『もっと頑張らなければならないことが沢山あるな』と再認識しました」

 そして笹原は平川にエールを送り、“先輩”の背中を追いたいと語った。

「僕は全く一言言える立場ではないですけど、(平川は)同じレッドブルアスリートで先輩ドライバーで、今年から自分もトヨタ陣営に加入させていただきました。彼は今WECを走っていて、自分の目指すべき点を確実に成し遂げているような印象があります」

「とにかく今ある状況を楽しんで、全力を出し切ってほしいです。もちろん、僕がそれに続くことができればという気持ちはもちろんあります」

笹原「現場にいないとダメなんだと感じた」

 なお、笹原は日本GPに先立って行なわれたアルファタウリのパーティーに出席した際、レッドブル系ドライバーの人事を司る重鎮、ヘルムート・マルコと言葉を交わすシーンがあった。その際、笹原は次のように語っていた。

「今後、今いる環境における自分の成績などもあって、マルコさんにもできることとできないことはあると思います」

「ただ言えることは、意外に見てくれていたということと、ちゃんと評価してくれていたんだということはかなり感じました」

 そして、笹原は世界に存在を示すためには、グランプリの“現場”を訪れてコミュニケーションを取ることの重要さを語った。

「いつ何がどう起きるかも分かりませんし、改めてこのF1という村は村社会なんだなと思いました」

「なんだかんだ知り合いが結構いるんです。『おー、久しぶり!』『こんなところで、こんなことやっているの?』みたいなのがあって、それは嬉しい再会でもあるし、ひょんなことから何かが動き出すというのは去年感じました。現場にいないとダメなんだなというのはハッキリ感じました」

「どんな立場であっても、常に顔を見せて、彼らとコミュニケーションを取って、自分の近況含めて彼らに注目してもらえる、覚えてもらう、そしてその先に繋げるという行動が状況を変えていくのかなと思います」