ハースはチームの母国戦となるアメリカGPでマシンコンセプトに変更を加える。

 これまでハースは、テクニカルパートナーであるフェラーリが2022年の現行レギュレーション導入時に採用したインウォッシュ型のサイドポンツーンに倣った空力処理を行なってきた。

 しかし、フェラーリはスペインGPでインウォッシュ型を廃止し、メルセデスもモナコGPで独自のゼロポットから変更。レッドブルが先鞭をつけたダウンウォッシュ型のサイドポンツーンが主流となった。

 その中でハースは唯一ダウンウォッシュ型のサイドポンツーンを採用していない存在となっていたが、来月サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催されるアメリカGPで右に倣うようだ。

 これで全チームが同様のソリューションをマシンに施すこととなる。2022年シーズン開幕時には様々な考え方が見られたが、結果的に最速マシンを生み出しているレッドブルの考え方に収束することとなる。

 ハースのギュンター・シュタイナー代表は、現在のマシンコンセプトでの“限界“を考慮し、サマーブレイク前に決断を下したという。

「今のコンセプトの最大の問題は、これ以上パフォーマンスを見つけることができなかったということだ」とシュタイナー代表は説明する。

「1年を通して開発したが、何もなかった。ある段階で、何か違うことをする必要がある。他が改善を続けている中、我々は壁に頭をぶつけ続けている訳にはいかなかった」

「同じようにマクラーレンはシステムを変更し、ある段階で何かを見つけた。だから、ある時点でコンセプトを変え、現実を直視する必要がある」

 そしてハースは現在のコンセプトの伸びしろを見つけられなかったため、2023年シーズンの予算をアップデートに費やすことを控えていた。シーズン終盤のアメリカGPでコンセプトを一新することができるのも、従来のコンセプトに見切りをつけて予算の使い道を変更したからだ。

「今のコンセプトでもっとアップデートを投入する計画だった。ただ、パフォーマンスが出なかったので、アップデートを今年投入するのをやめたのだ」とシュタイナー代表は言う。

「マシンが速くないなら、そのパーツを作っても意味がない。お金をかけてこなかったから、今回の大型アップデートができるのだ」

 シーズン途中にインウォッシュ型からダウンウォッシュ型へとコンセプトを切り替えることで、VF-23の設計上の制約も生まれてしまう。ただ、2024年から本格的にコンセプトを切り替える前に、重要な学びを得ることができるだろうとシュタイナー代表は考えている。

「今年やるべきかどうか迷っていたが、来年は本格的に変えていくつもりだった」とシュタイナー代表は言う。

「少なくとも、来年に向けてそのコンセプトについてできるだけ多くを学ぶために、今年中に何かやろうということになった。サーキットの外でも、来年のマシンに何かを学び得ることができる」