スプリントフォーマットでの開催となったF1サンパウロGP。メルセデスは大苦戦を強いられたが、この週末、彼らはF1スプリントの時点で決勝レースが苦しい展開となることを理解していたという。

 メルセデスは決勝レースで、ルイス・ハミルトンがスタートから3つポジションを下げて8位フィニッシュとなり、ジョージ・ラッセルはレース終盤にリタイアとなった。

 ラッセルのリタイアは油温の上昇と油圧の懸念が検出され、パワーユニットを保護するための措置だったが、メルセデスでチーム代表を務めるトト・ウルフは、自身のF1キャリア13年間の中で最悪の週末だったと振り返った。

 シーズン後半にかけて上り調子だった中での苦戦だったことも、チームの落胆を大きくしているのだろう。メルセデスはアメリカGPでフロアのアップデートを投入し、パフォーマンスを改善。結果的に失格となったものの、決勝ではハミルトンがレッドブルのマックス・フェルスタッペンに次ぐ2番手フィニッシュを果たした。

 続くメキシコシティGPではハミルトン2位を獲得。3連戦を締めくくるサンパウロGPでは、FP1で実施したレース想定プログラムから同様の競争力をレースで発揮することをチームは期待していたものの、ペース不足はスプリントの序盤で明らかとなった。

 トラックサイドパフォーマンス主任のリカルド・ムスコニは、次のように語った。

「フリー走行で見せた我々のロングランのペースはとても心強いモノだった」

「マシンを変える必要はないと思って予選に望んだが、結果は3列目あたりだった。ある意味、我々は満足していなかったし、マシンにはもっとパフォーマンスがあると感じていた」

 しかしF1スプリントでは期待が“警鐘”へと変わった。タイヤのデグラデーション(性能劣化)に関する懸念が認められたのだ。事態を改善するため、メルセデスはファクトリーにてシミュレータセッションを実施することとなった。

 ムスコニは次のように続けた。

「最初の2周は好調だったが、リヤを中心にマシンのデグラデーションがかなり高くなっていたから、スプリントが警鐘となった。その段階では日曜日(決勝)のパフォーマンスが心配だった」

「ファクトリーではシミュレータセッションを実施し、土曜日と日曜日の間に変更できるパラメーターを確認した」

 スプリントフォーマットで行なわれる週末では、金曜日に決勝用の予選が開始された時点でパルクフェルメルールが適用されるため、チームがマシンセットアップを調整できる手段は限られている。そのためF1スプリントの段階で、メルセデスは決勝レースに向けて「厳しい展望」を描いていた。

「最初の2〜3周をかなりハードにプッシュしたり、もう少しマネジメントを強化したり、フラップのバランスを少し調整したりと、土曜日に経験したいくつかの問題に対処することで、日曜日にはより快適なポジションを得られることを期待していた」

 ムスコニはそう付け加えた。

「しかし、日曜日の結果は土曜日と似た厳しいモノだった」

「リヤのデグラデーションは少し改善されたが、同時にアンダーステアに悩まされるようになった。マシンがコーナーを曲がりにくくなったんだ。そのため、ペースが上がらず、上位を争うことができなかった」

 なお、アメリカGPでのアストンマーチンやハースのように、パルクフェルメルールを破ってマシンセットアップを変更し、ピットレーンからレーススタートを迎えるという選択肢は“論外”だったとムスコニは明言した。