ラスベガス・ストリップ・サーキットで初開催となったF1ラスベガスGPは、波乱の幕開けとなった。フリー走行1回目で送水バルブの蓋が外れるアクシデントが発生し、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)やエステバン・オコン(アルピーヌ)のマシンがダメージを受けたのだ。これについて、走行初日を終えたサインツJr.が振り返った。

 FP1の序盤に蓋と接触してマシン下側に大きな衝撃を受けたサインツJr.車は、シャシーだけでなく、エンジン、エナジーストア、そして制御系と広範囲にダメージを受けた。セッションも即時終了となり、安全のためコースにある30個のバルブカバーを固定する作業が行なわれたが、これによりFP2の開始は2時間遅れに。ただこれによりサインツJr.車の修復も間に合い、FP2に出走して2番手タイムを記録することができた。

 サインツJr.はアクシデントを振り返り次のように語った。

「僕は大丈夫だ。あのインシデントで、背中と首に大きな衝撃があった」

「残念ながら、シャシー、パワーユニット、バッテリー、そしてシートまでダメージを受けたけど、メカニックとチームの努力でFP2には全く新しいマシンを完成させて、セッションを完遂することができた。これはヒーローのような頑張りだったと思う」

 ただ、サインツJr.はこれにより今季3基目となるエナジーストア(回生システム用のバッテリー)を投入することになった。これはシーズンを通して2基までしか使用を認められていないため、サインツJr.は決勝レースで10グリッド降格のペナルティが科される。スチュワードは不可抗力であることを考慮して、サインツJr.がペナルティを回避できる逃げ道を約2時間かけて模索したが、それは叶わなかった。

 裁定文には、こう記されている。

「このケースが例外的で不運な状況であったと判断した場合、適用の除外を認められる権限があれば、彼ら(スチュワード)はそうしただろう。しかしながら、レギュレーションではそのようなアクションが認められていない」

 サインツJr.は、スポーティングレギュレーションで“不可抗力”な状況に対処できないことは、FIAとF1にまだ多くの点で改善の余地があることを示していると語った。

「僕はかなり楽しみにしていたし、楽観的だった。残念ながら、セッションが終わった時にチームから連絡があり、僕には何の落ち度もないのに10グリッド降格ペナルティを受けることになった」

「このことで僕の考え方だったり、これから週末をどう過ごすかについての考え方が全く変わってしまった。この状況にどれだけ失望し、信じられない思いをしているか、想像できるはずだ」
「今週末はあまり喜んでいる僕を見ることはないだろう」

「今日僕に起こったことは、このスポーツがいかに多くの点で改善されるべきかを示す非常に明確な例だ。FIA、チーム、ルール......これは明らかに、ペナルティを受けない不可抗力として適用されてもおかしくない例だ」

「しかし、個人にとって都合が悪くなる状況というのは存在する。今回は僕がその代償を払う番だ」