フェラーリのフレデリック・バスール代表は、F1ラスベガスGPのFP1でカルロス・サインツJr.のマシンが受けた損害の補償について、ラスベガスGPの関係者と”プライベートな議論”をするつもりだと明かした。

 サインツJr.は、ラスベガスGP最初のセッション序盤、固定が不完全となっていた金属製の送水バルブのカバーに接触。マシンに大きなダメージを受けた。

 フェラーリはサインツJr.のマシンのシャシーやギヤボックス、パワーユニットの一部コンポーネントを交換。サインツJr.はFP2以降を無事に走行することができたが、10グリッド降格ペナルティは避けられなかった。

 サーキット側の設備不備で補償を行なった前例としては、2017年マレーシアGPのケースがある。ロマン・グロージャン(ハース)が縁石に設けられていた排水溝のカバーに激突し、マシンが大破してしまったのだ。ハースはその後、主催者側と金銭的な和解交渉を行ない、後に支払いを受けている。

 また2019年のアゼルバイジャンGPでも、固定が緩んでいたマンホールの蓋によりジョージ・ラッセル(当時ウイリアムズ)のマシンが大ダメージを受け、主催者側が損害の補償を約束している。

 フェラーリが補償を求めるかどうか尋ねられたバスール代表は次のように答えた。

「これについては関係者とプライベートな議論をすることになる」

 ラスベガスGPは事実上、F1およびF1のオーナーであるリバティ・メディアがプロモーターであり、フェラーリの交渉相手も彼らということになるだろう。

 バスール代表は、このクラッシュがフェラーリの予算制限にも影響を与えたことを強調した。事故によって消費されたスペアシャシーを、最終戦アブダビGPに向けてイタリアから空輸する追加コストも、チームの頭を悩ませるだろう。

「予算制限には、クラッシュを除外する規定はない」とバスール代表は語った。

「間違いなく、多くの追加コストが発生する。ギヤボックスが破損し、バッテリーが破損し、エンジンが死んだ」

「財政面でも競技面でも、スペアパーツの在庫の面でも、多くの影響がある。予算面でも確かに簡単なことではない」

 バスール代表は、チームのコントロールの及ばないところで起きた同様の事故による損害が、予算制限の対象外とすることについても提起する意向を示した。

「議論はあるだろう。決定はまた別だ」

 さらにバスール代表は、現場にいたマーシャルがコース上に落ちているデブリを見てイエローフラッグを出したが、セッションが赤旗中断になったのは、サインツJr.がそのデブリに接触して転倒した1分後だったと主張した。

 実際タイミングモニターとトラッキングデータを見ると、サインツJr.が当該箇所に辿り着く前にイエローフラッグが振られているのが分かる。そしてその後でサインツJr.が当該箇所に辿り着き、マシンにダメージを負うことになったのだ。

「事故の状況についても話し合う必要がある」

「カバーが外れたことだけでなく、黄旗と赤旗の間に1分あったことも私にとっては重要だ」

「つまり、黄旗を出した時にコース上に何かが見えたということだ。赤旗を出すまでに1分もかかった。かかりすぎだと思う」

「この件に関して、私にとって最大の問題は最初に黄旗を出すということは、何かを見たということであり、予想して黄旗を出すわけではないということだ」

「私のボードにも、レースコントロールから黄旗が表示されていたが、つまりそれは何かを見たということであり、それから赤旗が出るまで1分かかった。直線に金属部品が落ちていて、マシンは時速340kmで走っているのにね」

 バスール代表は、チームがコース上にデブリがあることを伝えるメッセージを受け取っていないことを認めた。

「いや、まったく何も言われなかったよ。イエローフラッグが出た理由も知らなかった」