11月27日、運営のドルナ・スポーツや国際モーターサイクリズム連盟(FIM)、国際ロードレーシングチーム協会(IRTA)の代表者によって構成されるMotoGP選考委員会は、2024年の参戦チームとしてCryptoDATA RNF MotoGP Teamを選出しないことを決定した。

 発表された声明では、RNFが「MotoGPの公共的なイメージに影響を与える、度重なる違反や参加協定違反を繰り返して来たこと」から、今回の決断を余儀なくされたと説明されている。

 RNFは先日行なわれた2023年最終戦バレンシアGPの時点で、チームのタイトルパートナーで大株主でもあるCryptoDATAが財政問題を抱えており、買収される可能性があるという報道がされた。その矢先の今回の発表だった。また、RNFの代表を務めていたラズラン・ラザリは、最終戦限りで同職を解任された。

 そのラザリ元代表は、今回のニュースに対するmotorsport.comの取材に応えると、チームがMotoGPから締め出された責任はCryptoDATAにあり、まだ支払いの済んでいないサプライヤーがいることを認めた。

 MotoGP選考委員会の声明では「2024年シーズンにアプリリアのマシンを使用して参戦するインディペンデントチームの申請を審査することになる」とも記されているが、motorsport.comの調べによるとこの新チームは、アメリカのトラックハウス・レーシングであることが分かった。

 トラックハウス・レーシングは元NASCARドライバーのジャスティン・マークスとラップスター“ピットブル”として知られるアルマンド・クリスチャン・ペレスが所有するチームで、2020年に設立。2021年のデイトナ500でNASCARカップシリーズにデビューし、これまでに6勝を挙げた。元F1王者のキミ・ライコネンをNASCARに参戦させたのも、このトラックハウス・レーシングである。

 トラックハウス・レーシングは今後、RNFの枠を引き継いでMotoGPに参戦すべく、正式な申請手続きに移ることになるようだ。またメーカー(アプリリア)による支援も必要となってくる。

 トラックハウス・レーシングの投資家達は、北米から世界へと進出することを望んでおり、そのためにはMotoGPが最適な場所だと考えているという。アプリリアに近い関係者によると、正式な声明が今後数日以内に発表されるようだが、彼らとしてもトラックハウス・レーシングのプロジェクトには満足しているという。

 またトラックハウス・レーシングの参戦が認められた後は、アプリリアとの関係が強化されるようだ。関係者は技術的なレベルで、現在のドゥカティとプラマックのような関係を築くことになると話している。

 アプリリアは、2024年シーズンにはラウル・フェルナンデスとミゲル・オリベイラのどちらかに最新のファクトリースペックのマシンを供給できるよう、準備を進めているという。ただ3台目のファクトリーマシンを用意するためのリソースを確保することは簡単ではないため、まだ確定事項ではないという。

 そもそもトラックハウス・レーシングは、2025年からMotoGPに参戦することを目指していた。しかし、今回RNFに関する問題から表面化したことで予定が前倒しされた。2024年に2台のファクトリーマシンの供給を確約できないことも、計画が前倒しされたことと関係しているようだ。

 RNFには、2023年からアプリリアの知見が投入されていたこともあり、チームの組織がそのままトラックハウス・レーシングの傘下に収まることになる模様。MotoGPの商業権については、全てトラックハウス・レーシングがコントロールすることになるという。

 なお火曜日にバレンシアで行なわれるテストでフェルナンデスは、アプリリアのマシンに乗る予定で、このマシンのメンテナンスは、アプリリアのメカニックが担当する。RNFチームは、トラックハウス・レーシングの契約がまとまるまで、冬季休暇を取ることになるだろう。

 motorsport.comは現在、トラックハウス・レーシングにさらなるコメントを求めている。