メルセデスとフェラーリによるコンストラクターズランキング2位争いは、F1最終戦アブダビGPまで続いたが、フェラーリのシャルル・ルクレールが2位表彰台を獲得した一方でメルセデスのジョージ・ラッセルが3位、ルイス・ハミルトンが9位となったことで、メルセデスがわずか3ポイント差でランキング2位を勝ち取った。

 レース終盤、ルクレールは5秒のタイム加算ペナルティを科されたセルジオ・ペレス(レッドブル)をあえて抜かせることで、自身は2位を保ちながらもラッセルの表彰台獲得を阻もうとした。

 結局この試みは失敗に終わったが、メルセデスのトト・ウルフ代表は、ラッセルを直接的に妨害することはしなかったルクレールは”スポーツマン”だと称賛した。

「ここ数戦のフェラーリのパフォーマンスを見ると、我々はこの週末少し後手に回っていた」

 ウルフはそうアブダビGPを振り返った。

「ふたりのドライバーが上位を争っていたが、ジョージのドライビングは非の打ちどころがなかった。終盤はギャップをマネジメントしていた」

「ふたつの偉大なブランドによる大変な戦いであり、フェラーリは我々がリスペクトするチームでもある、そしてシャルルは、最後に本物のスポーツマンのような走りを見せた」

 ウルフ代表は、ペナルティを抱えたペレスが終盤までメルセデスのゲームプランに組み込まれていなかったことを認めた上で、ルクレールがラッセルを抑えるという卑怯な戦術に訴えない”性格”を証明したと付け加えた。

「ペレスはしばらくの間、レーダーに映っていなかった。我々は自分たちのことだけに集中し、”ジョージのために最速のレースをしよう”と言っていた」

「それから、ペレスから5秒以内に入らなければならないと考えた。でも、ルクレールはかなり前にいたから、彼が我々を抑えるために何かできるとは思わなかった」

「最後に、彼は最終セクターでハンドブレーキをかけることができた(急減速してラッセルを抑えることもできた)のに、それをしなかった。それがドライバーの性格を表していると思う」

 ルクレールは2番グリッドからスタートし、レースを通じて2番手を走行。終盤はペレスとラッセルのギャップを開こうと、あえてペレスにスリップストリームとDRSを使わせた。その後、ペレスを前に出し3番手でチェッカーを受けたが、ペナルティを消化したペレスの1.1秒前でラッセルがフィニッシュ。ルクレールが2位、ラッセルが3位となった。

 ルクレールは、当時の思考プロセスについて訊かれ、次のように答えている。

「かなり前……基本的には(ペレスへの)5秒加算ペナルティに気づいた時点で決めたよ」

「それからジョージとチェコ(ペレスの愛称)のギャップを常に聞いていたんだ。そしてチェコがジョージを抜いたと聞かされたので、チェコが僕の後ろにいることは分かっていた」

「エンジニアと僕の間でかなり話し合っていたし、彼にもそれが僕のプランだと伝えた。でもうまくいかなかった」