FIA世界耐久選手権(WEC)のフレデリック・ルキアンCEOは、タイヤウォーマーの禁止を来年6月のル・マン24時間レースに限って緩和する可能性があると示唆した。

 WECは2023年シーズンの開幕から、環境上の理由からタイヤをピットで予熱してからマシンに装着することを禁止した。しかし4月のスパではコールドタイヤでピットを離れたマシンによる事故が相次いだため、ル・マン24時間レースのみ禁止令を撤回した。

 タイヤウォーマーの禁止について、ルキアンCEOは「今のところ、ル・マンについては決定していない」と語った。

「それが可能かどうか、何度も話し合う必要がある」

 ル・マンでタイヤウォーマーの使用が許可されるのには複数の理由があるとルキアンCEOは説明する。

「ル・マンは(昼夜の)気温差、カテゴリーの違い、ドライバーのスキルの違いなど、非常に特殊なレースだ」

「夜中の3時にピットレーンを出る時、気温はかなり低い。ドライバーはこれに適応する必要があり、そのためには時間が必要になる」

 ル・マンでは、WECの他のレースでは参加しないLMP2クラスがグリッドに加わる上、冷えたタイヤでピットを出たマシンに、すでに温まったタイヤを履くマシンが接近した場合、クラス間のスピード差による問題がさらに深刻化することになる。

 2023年にタイヤウォーマー禁止のルールが導入された当初から、ドライバーたちはコールドタイヤでピットを離れる危険性を指摘しており、3月のプロローグテストでフェラーリのジェームス・カラドがピットアウト直後にクラッシュを喫したのもこのルールの影響だった。

 カラドはこのルール変更に疑問を呈し、4月のスパで何が起こるか”予知”するようなコメントを残していた。

「スパでピットを出て、気温5度のオー・ルージュに向かうなんて想像できるかい?」

 そして結果として、スパの予選ではトヨタのブレンドン・ハートレーがアウトラップでクラッシュ。決勝ではフェラーリのアントニオ・フオコがクラッシュを喫した。

 しかしルキアンCEOは、2024年のル・マン以外のラウンドでタイヤウォーマーを復活させる計画はないと強調した。

「シーズン残りのレースでは間違いなくタイヤウォーマーを廃止する。疑いはない」

 2024年のWECレギュレーションはすでに発表されており、”(タイヤの)いかなる保温・保冷装置の使用”も禁止されている。

 ル・マン24時間レースは、1周8.467マイル(13.626km)のコースとその特殊性から、補足の競技規則が存在しており、通常11〜12月にこれが発表される。