プジョー・スポーツでテクニカルディレクターを務めるオリビエ・ジャンソニーは、チームが3月にカタールで行なわれる2024年シーズンの世界耐久選手権(WEC)開幕戦に、改良版の9X8を投入しないことを明かした。つまり、チームは昨年のシーズン最終戦に臨んだ“ウイングレス”仕様のまま今シーズンの開幕を迎えることになった。

 プジョーは2022年シーズン途中からWECハイパーカークラスに投入した前衛的な開発コンセプトを持つ9X8を、エボジョーカーの一部を使用して改良。リヤウイングが搭載され、前後のタイヤサイズが変更された。

 ジャンソニーは9X8の抜本的な改良を決定したタイミングについて次のように説明し、開幕戦カタールに投入するという選択肢はなかったと明かした。

「2月(の改良型のホモロゲーション獲得)には間に合わないことが最初から分かっていたんだ」とジャンソニーは言う。

「その理由は、このホモロゲーションプロセスだ。ジョーカーを使う場合、やりたいことの半分だけを行なうことはできず、全てを行なう必要がある。ジョーカーの効果を最大化するには時間がかかるんだ」

「昨年も、そして今年も競争のレベルが高いことは分かっている。だからこそ、パフォーマンス面で明確な一歩を踏み出すことができるモノを投入することが非常に重要だったんだ」

 プジョーは昨年11月の最終戦バーレーンまで、31/31タイヤから既にトヨタとフェラーリのル・マン・ハイパーカー(LMH)に装着されている29/34タイヤへの変更を発表していなかったが、夏の時点で従来型の9X8に新しいタイヤセットを装着してテストを行なっていたことが知られていた。

 プジョーは4月にイモラで開催される第2戦での改良型9X8の投入に向けて、3月末までに新しくホモロゲーションを取得しようと取り組んでいる。また、5月の第3戦スパまで改良型の投入が遅れることは「絶対にない」という。

 さらにジャンソニーは、改良型9X8の初テストの結果は「期待通り」だと説明し、改良型はかなりのモノだと語った。

「まず我々は、マシンの重量配分を変える必要があった」

「我々のマシンは元々31/31タイヤに合わせて、重量配分をかなり前に持ってくるように設計されていた。だから、それをかなり後ろにずらす必要があった」

「マシンのパーツを軽くし、バラストを移動させ、空力バランスを調整する必要があった」

「全ては今のタイヤ選択によるモノだ」