FIAを代表してコンコルド協定交渉に携わったガバナンス&レギュレーションディレクターのピエール・ケッテラーと商業法務部長のエドワード・フロイドが退任することが分かった。

 4月から国際オリンピック委員会(IOC)で新たな職務に就くケッテラーは、2010年にFIAに加わった。

 彼は長い間、組織における重要な法務担当者のひとりと見なされてきた。F1に限らず、スポーツ界全般に関わる懲戒事件や対外的な問題でもFIAを代表して対応し、コンプライアンス問題にも深く関わってきた。

 ジャン・トッド前FIA会長の下では、2026年まで有効なコンコルド協定のFIA側の交渉を主導。2011年にはFIAの司法規則と懲戒規則を作成、コロナ禍の2020年には、F1再開を可能にする行動規範『COVID-19』の策定にも携わった。

 45歳のケッテラーの離脱は、5日にロンドンで開催されたF1委員会の会議で各チームに正式に確認された。

 FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長はmotorsport.comに対し、「個人的にも、専門的に見たとしてもピエールがいなくなるのは寂しい」と語った。

「彼とは14年の付き合いになる。私がFIA会長に就任するずっと以前からだ。彼は常に、連盟と会員のために細心の注意を払ってきた」

「彼は我々の組織において著名で、尊敬を集める人だった。彼の貴重な貢献と揺るぎないプロフェッショナリズムに感謝したい。私は、ピエールが整えたチームによって、FIAのガバナンスとレギュレーションに関する業務は問題なく遂行されると確信している」

「彼は長年の忠実な奉仕の後、新たな方向のキャリアを歩むことを決断した」

 ケッテラーはmotorsport.comに対し、「私はスポーツに情熱を持っており、IOCに加わることは一種の夢だ」と語った。

「私はFIAで14年間を過ごし、別のスポーツ組織で新たな挑戦をしたかった」

「モータースポーツを離れ、同僚や友人と別れるのはとても寂しい。会長とは非常に重要な関係にあり、彼の信頼を得るのは難しいことだが、この2年間は素晴らしい時間を過ごすことができた」

 フロイドはFIAの主要な民事・商事法務アドバイザーであり、選手権プロモーター契約の法的交渉やアドバイザーを務め、コンコルド協定の議論にも関与していた。

 ここ数ヵ月、FIAは前F1スポーツディレクターのスティーブ・ニールセンやテクニカルディレクターのティム・ゴスといった主要スタッフを失っている。

 ゴスはビザ・キャッシュアップRBに加入し、ガーデニング休暇の後チーフテクニカルオフィサーを務める予定であり、同じく最近FIAを去った元フォーミュラEテクニカルマネージャーのアレッサンドラ・チリベルティと同僚となる。チリベルティは同チームでデザインプロセスマネージャーに就任する。

 モータースポーツ女性委員会の委員長を務めていたデボラ・メイヤーは、昨年末に契約を更新しなかった。

 このほかにも知名度の低いF1スタッフが何人か辞めているが、FIAはペン・スレイエム会長のもとでリストラを進め、同時に採用も行なっている。

 その一環として、最高法務責任者(Legal Officer)という新たな役職が設けられ、マクラーレンのF1技術を他分野で活用するマクラーレン・アプライド社でグループ法務責任者を務めていたポール・オダウドが最近この役職に任命された。

「FIAは過去12ヵ月間にわたり、大規模な変革を行なってきた」と広報担当者はmotorsport.comに語っている。

「我々は10もの新しい部門を創設し、将来に向けてより目的に合った連盟に再編した」

「他の機会を得て旅立つ者がいる一方で、最高法務責任者、最高商業責任者、持続可能性とEDI(平等、多様性、包括性)担当シニア・ディレクターという3人を経営陣に迎えるなど、新たな人材も増えている。スポーツとモビリティにおける重要な役割に多くのスタッフが加わったんだ」