セパンのウィンターテストでは、トヨタ陣営のテスト参加ドライバーに帯同する小高一斗の姿が初日からあった。昨季スーパーフォーミュラ(SF)へステップアップし、スーパーGTのGT300クラスではaprのレクサスLC500hをドライブし第7戦オートポリスでは3位表彰台を獲得した23歳。スーパー耐久シリーズでもレクサスRC F GT3に初優勝をもたらした若きスプリンターでもある。しかしセパンテストでは帯同しながらも、GT500クラスのスープラをドライブするわけではなかった。

 ところが最終日、ついに小高は19号車RACING PROJECT BANDOHのスープラに乗り込んだ。この日はトヨタの24年型開発車両である90号車スープラが前日までのブリヂストンタイヤに替えてヨコハマタイヤを装着し、19号車スープラと比較しながらタイヤを確認する作業があり、19号車スープラのレギュラードライバーである国本雄資と阪口晴南が2台に分乗。その合間に小高がドライブを担当したというわけだ。

 午前中の走行を終えた小高に今回の走行について尋ねると、初めてのGT500マシンの挙動に慣れようとしている様子だった。

「セパンもGT500マシンも初めてです。GT300とGT500を比べるとやはりダウンフォースがすごく、フォーミュラというよりはハコ車なんですが、これまで乗ってきたハコ車という感じがほぼなくて、高速コーナーがまだまだつかみづらい、どこまでいけるのだろうみたいなところはまだ探っている状態です」

「スピードの部分ではSFに乗っている分、恐怖感とかはなかったなという感じです」

 午前中は20周弱ほどを走り、ベストタイムは1分52秒台だった(セパンテストのベストタイムは坪井翔がスープラでマークした1分49秒227)ようだが、これについては「まだコースを覚えていませんから」と笑った。

「来る前に少しだけシミュレータでもセパンを走ってみましたが、シミュレータのイメージはあまりつけない方がいいかなと思って。やはり実際とは違うしドラッグもないし、シミュレータでGT500の走りもしたことがなかったし。ですから、実際のテストでは徐々に慣れてプチロング(ラン)してから、ニュータイヤを履いてみました。それもどれだけタイムが上がるんだろうと探り探りの状態で、まだ体験走行をしている状態です」とGT500初体験を慎重に走りながらも楽しんでいるようだった。そして午後のセッションも20周前後走り、この日だけで40周ほどを走行したようだ。

 昨季の終了時、トヨタのドライバーラインアップから立川祐路が現役を引退し、宮田莉朋が海外挑戦とシートがふたつ空くことになった。最終戦のパドック、複数のトヨタGT500チーム関係者からは「次にGT300からGT500に上がるのは小高だけではないか」、という声を聞いていた。しかし発表されたGT500のラインアップに小高の名前はなかった。

 今回のテストで小高は「これまでGT500に乗ったことがなかったので、今後の自分につながれば良いなと思います。まずはレースができるレベルまで慣れて、いつでも乗れるようにしておきたいです」と言葉を選んで話した。推測ではあるが、今季はトヨタのGT500のリザーブドライバーとして、レギュラードライバーにもしものことがあった際のためにスタンバイをするのかもしれない。

 1月10日に発表されたGT300クラスの参戦体制では、昨季同様aprの31号車レクサスLC500hで根本悠生、そして昨年FIA-F4シリーズ2位の中村仁と組むことになった。昨季は最高位が3位表彰台でシリーズ11位であったが、今季は中村の育成も兼ねながら根本と共に3名で上位を狙う一年になる。

 小高は「僕がセパンでGT500に乗っているように、まず国内テストでは中村くんに目一杯乗ってもらってGT300に慣れてもらいます(笑)。クルマに慣れれば普通に走れると思いますし、結果につながると思います。今年はSFとGT300で結果が残せるよう頑張りたい」と真顔で答えた。