先日、2024年シーズンを戦うニューマシンを発表したアルピーヌは、テクニカルディレクターのマット・ハーマンの言うように前年のマシンから引き継いだパーツがほとんどないなど、設計の刷新を行なった。チームはニューマシンに関してアグレッシブな目標を設定することで、グリッド上位に食い込むことを目指している。

 ハーマンはチームがギリギリまで物事を進め、デザインの面でもやや行き過ぎた部分があったことを示唆。「我々はいくつかの要素を限界まで、場合によってはそれ以上に追い込んだ」と述べていた。

 このコメントは、アルピーヌがFIAによって義務化されているクラッシュテストに一発合格できなかったという噂とも辻褄が合う。

 アルピーヌF1のチーム代表であり、アルピーヌのモータースポーツプロジェクトの責任者でもあるブルーノ・ファミンはmotorsport.comに対し、チームがいくつかのテストをやり直さなければならなかったことを認めた。ただその一方で、それはチームにとって不快なものではなく、むしろ歓迎されることであったと語った。

「我々はいくつかのテスト、ホモロゲーションのテストをやり直した」とファミン代表は言う。

「しかしそれは通常のプロセスだと思っている」

「もし全てのテストを一発でクリアしたとしたら、それは野心が十分ではないということを意味する。最終的な結果がどうなるかは見ものだが、いくつかのテストをやり直したという事実は、全く批判に値するものではない」

 チャンピオンチームでライバルにとってベンチマークとなる存在のレッドブルが正常進化型のニューマシンを送り出すとしている一方で、アルピーヌはマシンデザインを完全に刷新することを選んだ。チームはこれによりパフォーマンスの伸びしろが増えることを期待しているが、彼らとしてはそれをできるだけ早く軌道に乗せてパフォーマンスを上げる必要があるだろう。特に2026年はレギュレーション変革の年であり、来季2025年シーズンに向けてデザインを再考する時間はない。

 アルピーヌのアプローチは、前進のためにマシン開発を振り出しに戻すというややギャンブル的な動きをしたとも言えるが、ファミン代表はそう捉えていない。

「ギャンブルではない」

「我々は全く新しいマシンを開発するために懸命に働いた。レギュレーションに沿って変更できるものは全て変更した」

「それにはふたつ理由がある。ひとつは、過去から学んだということ。もちろん我々は空力、タイヤのパフォーマンスやデグラデーションについて学んだんだ」

「もうひとつは私が思うに、これは我々に限った話ではないと思うが、2024年の半ばには完全に2026年レギュレーション(に向けた取り組み)が始まっていくということだ」

「シーズンのかなり早い段階から2026年のプロジェクトに取り組むためには、そこにかなりのリソースを割く必要があるので、2025年のマシンは2024年のマシンのマイルドな進化型にとどまるかもしれない」

「2024年に大きなステップを踏み出すことが重要だった。新しいものがたくさんあるので、グリッドのどの位置につけられるかは全く分からない。重要なのはシーズン中にマシンを進化させられるかどうかだ」