MotoGPに参戦するホンダについて、ヨハン・ザルコはひとりのライダーに集中しない姿勢をとっていることが、皆にとってアドバンテージになってくると語った。

 ザルコは昨年限りでドゥカティ陣営を離れ、2024年シーズンからはLCRホンダへと加入。ホンダが復活を目指して開発アプローチを変化させている中で、経験豊富なザルコにもマシン開発で貢献することが期待されている。

 開幕戦でもホンダの苦戦は続いたが、その中でザルコはファクトリーチームのライダーを上回る成績を記録。いち早くホンダへの適応を進めているようにも見えるが、ザルコはだからといって自分に開発を集中させるのではなく、ホンダが今採用している2チームのライダー全体で行なっていく開発姿勢を維持すべきだと語った。

「いや、あまり僕に集中してもね」と、ザルコは言う。

「もし僕の方が速い時があったとしても、互いに共有してホンダのレベルを上げる助けになれば、それが全員にとっての利益になる」

「現時点でホンダにとっての昨年からの大きな変化は、ファクトリーチームに巨大なリーダーがいないことだ」

「僕がリーダーというわけでもなく、僕らは非常に似通っている。そして2チームがフルにホンダから開発を受けるのは役に立つし、ホンダは現にその道を進んでいる」

「以前はマルクがここにいて全ての問題を解決できたのかもしれないけど、彼らがそこに集中しすぎたのかもしれないというのは、理解できる」

 ザルコは開幕戦カタールGP決勝でファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)の後ろ12位でフィニッシュした。レース中にはマーベリック・ビニャーレス(アプリリア)と近い位置走行して、今年2番手ともみなされるマシンと比較するチャンスもあった。

 ザルコは開幕戦で収集したデータから、ホンダが今年与えられた優遇措置の活用と合わせて、バイクの弱点を改善することができると感じている。

「今はこのバイクが表彰台に登る準備ができていないのは分かっているから、レースを開発の場として使っていくことが必要だ。でも明らかにこのプロジェクトはこの2年間よりも良くなっている」

「僕らにとって(カタールGPで)ベストな参考になったのは、ビニャーレスだった。アプリリアはカタールでベストバイクのひとつだったからね」

「彼は自信が足りていないようで、序盤に少しミスをしていたから、少なくとも僕は彼についていくことができた」

「そしてレース後半で、彼についていけないことも分かった。ライダーとして自分がどの位置にいるのか、そしてこのバイクがどんな状態にあるのかの情報を得る素晴らしい事例になった」

「僕らは優遇措置を受けているから、テストをより多くできるし、試すためのパーツをより持ち込める。これは助けになるだろう」

「バイクにはバランスというものがある。そこに大きな秘密はないけれど、誰もがバランスを見つける必要があるし、ホンダもそうしようとしているんだ」

 ザルコのチームメイトである中上貴晶は、ホンダのアプローチが変わったことを、反応に要する時間に大きな違いがあることなどからこの数ヵ月間で実感していると語った。

「彼らが変化させたシステムやアプローチ、そのコンセプトはとても印象的でした」

 中上はそう語る。

「内部の人達は大きく変わってきています。今も知らない顔がそこかしこにいますよ」

「ファクトリーチームとサテライトチームがひとつの“ユニット”のようになっています。いい感じですよ」

「それから、より日本人と会話をして、彼らに僕が説明できるようになりました。これも良い事です。僕としてはより家族的、ホンダファミリーのように感じています」

「こういった形で続けて改善ができればいいですね。ライダーは競争力のあるバイクを欲しがるものですから。エンジニアのためにもっと情報を集めたいと思っています。このまま続けていきましょう」