3月16〜17日に岡山国際サーキットでスーパーGT公式テストが行なわれた。GT500クラスではトヨタ、日産、ホンダ、そしてタイヤメーカーのブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップが開発競争を繰り広げる中、まだ各社のパワーバランスが見えてこない部分も多いが、日産陣営の23号車MOTUL AUTECH Zは安定したパフォーマンスで順調な様子を見せた。

 今季はZ NISMOがベースとなり、フロントマスクをはじめ若干印象を変えた装いとなるZ NISMO GT500は、今年も4台がエントリー。ミシュランのGT500活動休止につき今季からブリヂストンタイヤを履く23号車は、過去2シーズンでNDDPの3号車を駆りチャンピオン争いを繰り広げた千代勝正が新たに加わり、ロニー・クインタレッリとコンビを組む。

 その23号車は、テスト初日午前のセッション1を日産陣営トップの3番手で終えると、午後の模擬予選でも同じく日産最上位の5番手。2日目午前も日産トップの4番手で、ウエット路面の午後は24号車リアライズコーポレーション ADVAN Z、12号車MARELLI IMPUL Zに後れをとるも、総合5番手につけた。

 ここまでは、今季から履くブリヂストンタイヤへの習熟やマッチング、そして24年仕様の空力テストに重点を置いてきたという23号車だが、今季初の公式テストでは安定して上位のタイムを記録した。千代は良い形でテストを進められていると語る一方で、もっと強いマシン、チームを作っていく必要があると貪欲な姿勢を見せた。

「ここまではコミュニケーションもうまくいっています。ロニーさんとも車の好みが似ているというのが嬉しい驚きで、適応は早くできていると思います」

「もちろんNISMOは1台体制ではありません。(同じくNISMO運営の)3号車、そしてブリヂストンユーザーの12号車と共に強くしようと、ワンチームで頑張りたいと思っています。3号車のチームもみんな知っている仲なので、お互いの情報を共有しながら良い形で開発を進められていると思います」

「今の時点ではタイムが出ているポイントもありますが、周りがどういう状況で走っているか分かりません。圧倒的に強いクルマ、チームを作りたいと思っているので、まだまだ安心はしていません」

 今回は2日目午前セッションの後半から雨が降り、午後は完全ウエット→ダンプと路面状況が推移するセッションとなった。多くの関係者にとって、これほど早いタイミングで雨が降り始めるのは予想外だったようで、ドライコンディションでのロングランを行なえないままテストを終えたチームも多かった。NISMOもそのチームのひとつで、クインタレッリがロングランをしている途中で雨が降った格好。千代は「今年はテストで雨が降ることが多く、メニューが消化できなかったテストもあります。色々なパッケージを固めないといけないという意味でも、(翌週の)富士テストはしっかり晴れて欲しいですね」と語る。

 その一方で、今回雨になったことで各社がウエットタイヤを試すことができた。ブリヂストンは、昨年のテストで持ち込んで実戦投入には至らなかったトレッドパターンのタイヤを今回も持ち込んでいるようだが、昨年までウエット路面で最強を誇ったミシュランを知る千代はそのフィードバックについて、詳しいことは話せないとしつつ「BSさんも対ミシュランでしっかり開発を進めてきたのが分かりますし、ウエットの完成度が高くなってきていると思います。ただヨコハマさんが速かったのは驚きでしたし、どのメーカーもうかうかしていられない状況ですね」と話した。

 NDDP出身、日産の“生え抜き”ドライバーとして長くキャリアを積んできた千代は、今季ついにエースナンバーの『23』を背負うことになった。今季はスーパーGTの活動に専念するため、スーパー耐久への参戦も見送った。その表情や眼光からも、GT500に懸ける思いが伝わってくる。

「今までの23号車のドライバーは日産、NISMO陣営を引っ張ってきたドライバーですから、自分の番がついにきたのかということで、感慨深い気持ちもあります。日産、NISMOに育ててもらった“純正”のドライバーとして23号車に乗れることは嬉しいです」

「今まで(松田)次生選手とロニーさんがそうしてきたように、自分もチームを引っ張っていく存在になりたいです。もちろんコース内でのタイムも重要だと思っていますが、コース外でもみんなとコミュニケーションとって、良い雰囲気を作って、良いチームにしたいです」

 4月に岡山で開幕するシーズンに向けては「1レースでも早く結果を残して、勝ち運を呼び込めるようにしたい」と語る千代。2年続けてあと一歩のところで届かなかった悲願を、名実共に“エース”となった今年こそ達成できるか。