まもなく決勝レースのスタートを迎える、2024年のF1日本GP。このレースでは、ソフトタイヤを履いてスタートするドライバーが複数いるものと見られているが、それはいかに乱れた空気の中を走るのを避けるか……ということが、レースの結果を左右する可能性が大きいためだ。

 2022年から、F1のテクニカルレギュレーションは大きく変更され、F1マシンを車体後方に乱気流を生み出しにくく、そして乱気流の影響を受けにくいモノにすることを目指した。これにより、コース上で接近戦が繰り広げられることが期待されたのだ。

 しかしそれから2年。各チームが空力開発を行なった結果、マシン後方の気流の乱れは、年々大きくなっている。マシンの側方に気流を流そうとするアウトウオッシュスタイルが流行したことも、それに追い討ちをかけた。

 日本GPの予選では、レッドブルが圧倒的速さでフロントロウを独占。しかしその後方は、決勝レースでも大激戦になることが予想され、その結末は大いに読みにくい。

 しかし特にここ鈴鹿は、高い空力効率が求められるコース。もし集団の中に閉じ込められるようなこととなれば、前を行くマシンが生み出す乱気流の影響をもろに受けてしまい、思い描いていたようなレースを戦うのが難しくなることもあろう。

 鈴鹿で順位を上げるための鍵は、素晴らしいオーバーテイクを披露することではなく、乱れた気流の影響を受けず、いかにペースを最大化するかということ。そのためにも、ピットストップのタイミングが重要になる。

 ピレリのカーレース責任者であるマリオ・イゾラは、ライバルよりも良いスタートを切り、レース序盤で差を築くためにも、ソフトタイヤでレースをスタートするマシンが多いのではないかと考えている。

「エアロパッケージに関しては多くの開発が行なわれて来たが、残念ながら現在は、他のマシンを追いかけると、ダウンフォースが失われてしまうという以前の状況に戻ってしまった」

 そうイゾラは語った。2022年に新しいレギュレーションが導入される以前は、マシンが多くの乱流を生み出すようになったことで、接近戦が著しく減っていたが、その時の状況に戻りつつあると、イゾラは考えているのだ。

「2022年の最初の頃は、そういう影響はなかった」

「全てのチームが新しいエアロパッケージを開発し、マシンの後方に乱気流を生み出している。そういう乱気流が、今は戻ってきてしまっているんだ」

「このコース(鈴鹿サーキット)はとても速く、流れていくような特性だ。前を行くマシンを追い、トラフィックに巻き込まれてしまうと、かなりの量のダウンフォースを失ってしまうことになる」

「だからこそ、たとえレース序盤のスティントを短くすることを強いられたとしても、トラフィックに巻き込まれずにアドバンテージを得るために、スタート時にソフトタイヤを履くということが選択肢になりうるのだ」

 1コーナーに先頭で飛び込むことができたマシンは、後続に対してかなり有利になるはずだ。また、スタート直後にポジションを守り、後続の遅いマシンに先行されてしまうというリスクを回避するためにも、ソフトタイヤを履くという選択肢は、十分にありえるものと言えよう。

 フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールは、スカイでのインタビューに、次のように語った。

「1周目を終えた時点での順位が重要になる」

「クリーンエアが前にあれば、ずっと良いだろう。ここ鈴鹿は、オーバーテイクするのが簡単ではない。他のマシンの後方で30周走るのは、非常に難しい状況になる。最初の1周が、とても重要なんだ」