フェラーリは今季、高速コーナーで一歩前進したと考えており、鈴鹿の高速コーナーでレッドブルの脅威となることを期待していた。

 鈴鹿サーキットは高速コーナーと低速コーナー、長いストレートを備えたコースであり、マシンのパフォーマンスを見る良いリトマス試験紙だと言える。

 しかし日本GP予選ではレッドブルのマックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得。4番手となったカルロス・サインツJr.は0.485秒差の4番手だった。

 昨年の日本GPでのフェルスタッペンのポールタイムとの差が0.665秒だったことを考えると、差が縮まったとも言えるが、フリー走行からロングランペースがレッドブル以上に良かったように見えただけに不満の残る結果だろう。

 だがそれぞれの予選ラップを分析すると、レッドブルとの差の多くが、高速コーナーではなく、フェラーリが得意としてきた低速コーナーで生まれていることがわかる。これも、フェラーリがもっとうまくやれたはずだと感じさせる要因だ。

 サインツJr.は、ターン2を立ち上がるところでフェルスタッペンと0.1秒差だった。そしてセクター1の高速セクションや、デグナーを越えてヘアピンにたどり着くところで、さらに0.1秒遅れた。

 そしてそのヘアピンひとつで、サインツJr.はさらに0.1秒遅れてしまったのだ。最終セクターのシケインでは0.3秒遅れ。つまりスプーンや西ストレート、130Rではフェルスタッペンとほぼ同等のペースだったわけだ。

 しかしシケインでそうした努力が水の泡となり、このセクションだけでさらに0.1秒をロス。最終的に0.485秒遅れとなったわけだ。

 昨年のベストラップと比較すると、今年のフェラーリはヘアピンとシケインで遅くなっていることも分かる。

 コンマ1秒の差はそれほど大きくないと思われるかもしれないが、現在のF1のように争いが僅差である場合、それは非常に重要なことだ。

 フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールはSkyに次のように語った。

「すべてのセッションで、ターン17(最終コーナー)や最後のシケインでかなり苦戦した」

「これがマックスとのギャップを生んでいた。9番手と4番手のコンマ1秒の差は、ディテールの問題なんだ」

「だがそのディティールが重要だ。そこに集中して、なぜ最終コーナーで大きくタイムをロスしたのかを理解しなければならない。トラクションがカギになるからだ。DRSのあるストレートは1本しかないから、その問題を解決しなければならない」

 現行のF1マシンは、様々な速度域でダウンフォースを発揮するためにベストなバランスを見極めなければならないという、果てしない頭痛の種をチームに与えている。そのためフェラーリが高速域での利益を追い求めるあまり、低速での優位性が損なわれている可能性もある。

 しかし、予選を通じてグリップ不足に困惑していたシャルル・ルクレールは、事態はもう少し複雑だと考えている。

「想像していたよりも離されてしまった。クルマの特性もレッドブルほど鈴鹿にフィットしていないのかもしれない」

「ちょっと不思議なのは、ロングランでは僕たちはかなりいいんだけど、ショートランでは今日はどうしようもなかったんだ。だから、このような状態になるのは、おそらくタイヤが原因だろうと考えている」

 しかし、フェラーリが無視できないもうひとつの真実もある。それは、フェルスタッペンがレッドブルの低速パフォーマンスについて常に不満を漏らしている一方で、実はレッドブルが秀でているのはその領域だということだ。

 マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラが指摘するように、誰もが高速コーナーでレッドブルに追いついているように見えるが、レッドブルの強みはそれだけではないのだ。

「レッドブルに比べれば、みんな高速性能は向上している。しかし同時に、レッドブルはストレートスピードの面でもアドバンテージを保っていると思う」

 そうステラ代表は説明した。

「そして、彼らは他のすべてのスピードにおいても非常に優れている」

「ヘアピンを抜ければ、彼らのマシンがベストだ。だから、ラップタイムを決めるのは結局のところ、マシンの総合的なパフォーマンスなんだ」