苦戦が続くメルセデスF1のトト・ウルフ代表は、現行レギュレーション下でのマシン開発を諦め、新レギュレーションが導入される2026年に全てのリソースを振り分けるようなことはしないと語った。

 2022年に現行のグラウンド・エフェクトカーのレギュレーションが導入されて以降、メルセデスは苦戦。それ以前(2021年まで)は8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得したものの、それ以降は2022年のサンパウロGPが唯一の勝利。昨年今年と未勝利のレースが続いている。

 最近のコメントからすれば、メルセデスは現行のグラウンド・エフェクトの効果をまだ完全には理解できていないようだ。実際ウルフ代表は、今季マシンW15について、期待通りのダウンフォースを発揮できているものの、それがラップタイムにつながっていないことを明かしており、パフォーマンスの問題は空力面ではなく、メカニカル面に関連しているのではないか考えている。

 その間に、レッドブル勢は圧倒的な強さでポイントを積み重ねており、日本GPまでの4戦中3戦で1-2フィニッシュを達成。他のチームにとっては、ランキング2位を目指すしかないという状況に早くもなりつつある。

 レギュレーションでは、2026年用マシンの開発をスタートできるのは、2025年の1月からとされている。しかしそれでも、早い段階で今季、来季用マシンの開発を諦め、新レギュレーション向けマシンの開発に注力した方が、得られるモノが大きいのではないかと見る向きもある。

 今年後半には、メルセデスが現行レギュレーション下の開発を諦め、2026年以降の準備にシフトするタイミングが来るのではないかと尋ねられたウルフ代表は、motorsport.comに対して次のように語った。

「我々はメルセデスだ」

 そうウルフ代表はそう宣言した。

「現在のレギュレーション下での開発を完全に放棄して、現時点のレベルのパフォーマンスを維持し続けることはできない」

「それはブランドの野心ではなく、我々自身やパートナーの野心でもない。だからその質問に対する答えはノーだ。開発をプッシュし続け、理解を続けていく必要があると思う」

「しかし最終的には、FIAがレギュレーションを策定したら、他の全てのチームと同様に、我々もそれを検討し始めるだろうし、それよりも早い段階で検討が始まることになるはずだ」

 ウルフ代表は、今もメルセデスが、フェラーリやマクラーレンと共にレッドブルを追撃する集団にいると考えているが、それはメルセデスとしては満足できる状況ではないとも語った。

「最終的に勝利やチャンピオン獲得を目指してレースすることを期待しているのなら、マックス(フェルスタッペン)とレッドブルがはるか先を行っている。我々はどっちつかずの状況にいると言える」

「我々はこの集団の中にいるが、2位〜4位を争うどのチームにとっても、満足いくモノではない。私は常に、純粋なスポーツとしての観点から見るなら、重要なのはトップになることであり、2位〜4位ではないと言ってきた」

「しかしこれは、我々が現在直面している現実だ。この現実の中で、最善を尽くそうとしている」

「我々の目標は、直接のライバルに勝つことだ。その一方で、他のチームがより良い仕事をしていることを認め、今年レースに勝つことができるかどうかということについて、自らベンチマークを設定する必要がある。その野心は手放したくない。そしてそれを目指すのは来年ではないよ」

「2026年にはレギュレーションが大きくリセットされる。他のチームにとっては、レッドブルを打ち負かすことができる最も現実的なチャンスになることは間違いない。しかしその前に1シーズンと3/4が残っている。その間、今以上の苦しみを経験したくはない。見どころがあること、そして浮上できることを期待するだけだ」