ファビオ・クアルタラロは4月上旬、MotoGPに参戦するヤマハと契約延長し、2026年まで同チームに留まることを発表した。その決断の背景には、ヤマハのMotoGPプロジェクトへのコミットメントがあったようだ。

 クアルタラロとヤマハは今シーズンも開幕2戦を見る限りまだ苦戦が続いている。彼は昨年からマシンに不満を示し、改善を声高に要求していたため、他チームへ移籍する可能性が高いと言われ続けてきた。実際に本人も、ライバルチームとの接触を認めていた。

 しかしクアルタラロは、最終的にヤマハ残留を決断。この決定の背景には、ヤマハが舞台裏で進めているマル秘プロジェクトの存在があったようだ。

「確かに、僕は他のメーカーとも話をした」

 クアルタラロはそう語る。

「今回の決断は、簡単なものじゃなかったよ。でも(第2戦)ポルトガルでヤマハのトップマネジメントやエンジニアと、今から年末にかけて、そして2025年と2026年のプロジェクトについて素晴らしいミーティングができたんだ」

「本当に興味深いことがいくつもあった。ただそれはまだヤマハでは機密事項なんだ。そして、本当に大きなプロジェクトになるだろう。それでポルトガルで決断が下されたんだ」

 なおヤマハはこのオフシーズンにかけて、チーム内での作業方法に重要な変更を加えている。人材としてもドゥカティから重要人物のマックス・バルトリーニを引き抜いて、新たにテクニカルディレクターに据えた。

 クアルタラロは、バルトリーニの加入とヤマハがMotoGPプロジェクトに投入している予算も、残留を決断するにあたっては大事な要素になったと語っている。

「理由のひとつには、ヤマハのバイクを改善するための予算がすごいということがある」

「ドゥカティからマックス・バルトリーニを引き抜いてきたことで、彼は何個も良いアイデアをもたらしてくれたし、ヤマハは素早くそれを実現することができる。“超素早く”ではないのは、僕らには少し時間が必要だからだ」

「だけどこれは非常に大事なことなんだ。それに来年にはもうそれ(バイク)が全然違うものになっている可能性がある」

 さらにクアルタラロは残留について次のように続けた。

「ポルトガルでは僕にここへとどまりたいと思わせてくれるたくさんの情報があって、本当に良かった」

「第一にそれはヤマハが将来に向けて構築しているプロジェクトで、もちろんそれは今から、いや1月から始まっている」

「僕がここに留まりたいと思ったのは、彼らが取り組み方を完全に変えたからだ」

「マレーシアでのテストでは、上手くいかないモノがあって、エンジニアには(バイクから)もう外したがっている人もいた」

「だけど何人かのエンジニアが『いや、僕らはその問題を解決できる』と言い、そして上手くいかせたんだ。それにヤマハは多くの投資をしているし、将来に向けた大きな極秘のプロジェクトもあるんだ」

「僕は今年でヤマハ6年目になるけど、僕を引き止めたいと本気で思ってくれているんだ」

 そしてヤマハで再び競争力を発揮するためには、次の2年間で十分だと思うかと問われたクアルタラロは、こう答えた。

「イエスだ。いつになるかは分からないけどね。今年はちょっとスタートが遅すぎたから、簡単じゃないだろうけどね」

「でも僕らは今シーズン中盤にはもういくつかステップを進められると思うし、さらに上位に食い込んでいけると良いね」