F1レギュラードライバーが病気や怪我などで出場できなくなった場合はどうなるのだろうか? もちろん各チームはそのような事態に備え、代わりのドライバーをひとり以上指名し、すぐに代役として起用できるようにしている。

 近年はリザーブドライバーの登場機会も多く、2023年にはアストンマーティンのランス・ストロールが自転車事故で手首を骨折し、プレシーズンテストをリザーブのフェリペ・ドルゴビッチが担当。その年のオランダGPでこちらも手を負傷したアルファタウリ(現在のレーシングブルズ)のダニエル・リカルドの代わりには、リアム・ローソンが起用された。

 また2024年には、フェラーリのカルロス・サインツJr.が虫垂炎によってサウジアラビアGPを欠場することとなり、代役としてオリバー・ベアマンが起用された。結果的に若い才能がF1という大舞台でも十分に力を発揮できるということを示す機会となり、ローソンは2025年にレッドブルレーシングで、ベアマンはハースで初のF1フルシーズンを迎える。

■どのチームにもリザーブドライバーがいる?

 ベンチにどのようなドライバーを揃えるか、ということもF1チームにとっては重要だ。結局のところ、最悪の事態に陥った場合には、安定して結果を持ち帰ることができるリザーブドライバーを起用するというのが最も簡単な解決策だ。

 そのため、チームはグランプリにリザーブドライバーを帯同させるか、そうでなくても他チームからドライバーを調達できるような契約を結んでいる。

 チームによっては複数人のリザーブドライバーを雇うところもある。ただ、役割やタスクが異なることもあり、金曜日のフリー走行に時折出走するドライバーもいれば、シミュレータ作業を行なうだけというドライバーもいる。

 以下が現段階で分かっている各チームの2025年リザーブドライバーだ。

2025年のリザーブドライバーリスト

■マクラーレン
 2024年にコンストラクターズタイトルを獲得したマクラーレンは、まだ2025年のリザーブドライバーを指名していない。直近では、インディカー・シリーズに参戦するメキシコ人ドライバーのパトリシオ・オワードやトヨタのファクトリードライバーである平川亮がリザーブドライバーを担当。年間に消化しなければならない金曜日のルーキー起用枠や、ポストシーズンに参加してきた。

■フェラーリ
 ベアマンのハースからのレギュラー参戦が決まったため、フェラーリはまだ2025年の正式なリザーブドライバーがいない状況だ。しかし、緊急時にはベアマンがファーストチョイスとなる可能性は十分にある。例えば、メルセデスは2020年のサクヒールGPではルイス・ハミルトンがCOVID-19陽性となったため、当時ウイリアムズに所属していた育成ドライバーのジョージ・ラッセルを起用しており、他チームのレギュラードライバーを代役に起用する前例となっている。

 また、ザウバーのF1シートを失った周冠宇も、フェラーリのリザーブ就任について交渉を行なっていると示唆している。

■レッドブル・レーシング
 2024年にレッドブル系2チームのリザーブドライバーを務めていたローソンがメインチームで、アイザック・ハジャーがレーシングブルズでレギュラーシートを掴んだ後、レッドブルはまだその後継者を発表していない。ただ、2025年には3名のレッドブル・ジュニアがFIA F2に参戦予定であり、その中から選ばれる可能性が高い。

■メルセデス
 ザウバーで3年間レギュラードライバーを務めたバルテリ・ボッタスが、2025年からメルセデス陣営に復帰する。ボッタスは2017年から2021年までメルセデスに所属し、計10勝をマーク。ドライバーズランキング2位に2度入った。

 ボッタスの前任者であるミック・シューマッハーは、アルピーヌから世界耐久選手権(WEC)に参戦するため、リザーブ役を離れた。

■アストンマーティン
 2022年にFIA F2でタイトルを獲得したドルゴビッチは、3シーズンにわたりアストンマーティンのリザーブドライバーを務めることとなる。前述の通り、2024年のプレシーズンテストにも参加した他、F1フリー走行やポストシーズンでもドライブするなどF1マシンでの経験も少なくない。

 またアストンマーティンはドルゴビッチの他にも、元F1ドライバーでフォーミュラEチャンピオンであるストフェル・バンドーンとも2023年からリザーブ契約を結んでいる。

■アルピーヌ
 2025年に向けてアルピーヌは3名のリザーブドライバーを揃えた。まずは2024年のF2でランキング3位となったポール・アーロンを起用し、平川はマクラーレンではなくアルピーヌでリザーブを務めることとなった。

 加えて、2024年シーズン後半にローガン・サージェントの後任としてウイリアムズから参戦したフランコ・コラピントもアルピーヌでリザーブドライバーを務める。コラピントは突然の起用ながらウイリアムズで目を引く活躍を果たしたが、既にウイリアムズの2025年シートを埋まっていたため、グリッドに留まることができなかった。

■ハース
 ハースは近年、F1世界チャンピオンであるエマーソン・フィッティパルディの孫ピエトロをリザーブドライバーとして起用してきた。彼は2020年には負傷したロマン・グロージャンの代役を2度務めた。

 2025年のリザーブドライバーについてはまだ発表が行なわれていないが、これまでのフェラーリとの繋がりから、F2に参戦するディノ・ベガノビッチといったフェラーリ育成を起用するか、もしくはチームのトヨタとの提携からファクトリードライバーである宮田莉朋をリストに入れるかもしれない。実際、宮田は先日行なわれたハースの旧車テスト(TPC)でF1マシンを初ドライブしたばかりだ。

■レーシングブルズ
 レッドブルレーシングの姉妹チームであるレーシングブルズも、2025年に向けてリザーブドライバーを正式に発表していないが、2024年同様日本のスーパーフォーミュラに参戦する岩佐歩夢がシミュレータドライバーを務めることは決まっている。岩佐はその年、日本GPとアブダビGPで金曜日のフリー走行に出走し、ポストシーズンテストにも参加した。

■ウイリアムズ
 本来、2024年限りで一度F1シートを降りることとなったコラピントは、ウイリアムズのリザーブドライバーに戻る運命にあった。しかし、結局アルピーヌへ移籍したため、現時点ではウイリアムズの2025年のリザーブ枠は空いたままだ。

 しかしウイリアムズも自前の育成プログラムを持ち、所属のルーク・ブラウニングは2025年もF2に参戦。アブダビGPのフリー走行でF1公式セッションデビューを果たし、続けてポストシーズンテストにも参加しており、ブラウニングが2025年のリザーブドライバーとして起用される可能性は高い。

■ザウバー
 ザウバーの育成プログラムからは、他カテゴリーでキャリアを積むために去るドライバーも多く、2025年シーズンに誰がリザーブドライバーを務めるかどうかは分かっていない。

 2024年シーズンにザウバーから2度金曜日のフリー走行に参加したロバート・シュバルツマンは、2025年からプレマと共にインディカー・シリーズに参戦することとなっている。