凱旋門賞馬アーバンシーを母に、英愛ダービー馬にして大種牡馬のガリレオを半兄に持つ、華やかな家系に生まれ落ちたシーザスターズ。競走馬としてはもちろん、種牡馬としても大系統展開への足場を固め、史上最高クラスの成功を収めた完全無欠のエリートホースだ。

シーザスターズは2歳7月のデビュー戦で4着に敗れている。しかし、これが生涯唯一の黒星となった。2戦目に勝ち上がると、3戦目にはG2ベレスフォードSで重賞初挑戦、初制覇。2歳シーズンを3戦2勝で終え、G1以外のレースに出走することもなくなった。

3歳を迎えた期待の超良血馬は当然のようにクラシックを目指した。しかし、英2000ギニーの前に熱発し、ぶっつけ本番を余儀なくされる。それでも、レースではデレゲーターとの一騎打ちから1馬身半抜け出して完勝。J.オックス調教師はマイラーのケープクロス産駒であるシーザスターズにとって、英2000ギニーが最大目標であったことを明かした上で、次戦には地元の愛2000ギニーではなく英ダービーを選択した。

オックス師は最後まで距離延長への不安を隠そうとしなかったが、それは全くの杞憂だったことが明らかになる。英ダービーでのシーザスターズは序盤に力みを見せた一方、好位追走からA.オブライエン厩舎のフェイムアンドグローリーに1馬身3/4差をつけて快勝。ガリレオに続く兄弟制覇を果たすと同時に、ナシュワン以来20年ぶりの英二冠を達成した。

愛ダービーを馬場の悪化により断念したシーザスターズは、1週後のエクリプスSに矛先を向けてG1レース3連勝。続く英インターナショナルSでは愛2000ギニーとセントジェームズパレスSを連勝してきたマスタークラフツマン、さらに愛チャンピオンSでも愛ダービー圧勝で巻き返したフェイムアンドグローリーを返り討ち。いよいよ凱旋門賞で欧州最高峰の戦いに臨む。

英ダービー後、オブライエン厩舎の刺客たちに3連勝し、勝負づけを済ませたシーザスターズにとって、未知の脅威といえばホスト国のフランス勢が中心。その中には前年の仏ダービー馬ビジョンデタ、仏オークスはじめ無傷の6連勝で名牝ザルカヴァの再現を狙うスタセリタなどの強豪たちが控えていた。しかし、シーザスターズはゲートが開くと行きたがり、頭を上げて他馬と接触するなど危うい面を見せながらも、中団で我慢を重ねて末脚爆発。離れた3番手から先頭に立ったスタセリタを直線半ばで並ぶ間もなくかわすと、し烈な2着争いを尻目に悠然とゴールを駆け抜け、デトロワ(1980年)とカーネギー(1994年)以来となる史上2組目の凱旋門賞母子制覇を成し遂げた。

この勝利を最後に引退したシーザスターズは、欧州の名だたる相手にG1競走6連勝の実績が評価され、2009年のカルティエ賞年度代表馬と最優秀3歳牡馬に選出。レーティングは136にまで達した。また、種牡馬入り後はタグルーダ(英オークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS制覇)、ハーザンド(英愛ダービー制覇)、シーオブクラス(愛オークス制覇など)ら逸材を毎年のように輩出。欧州の絶対的王者である半兄ガリレオと共に、これからの欧州競馬を背負う存在と言えるだろう。