競馬発祥の地、英国のダービーをついに日本に縁の血が制した──今年で244回目の英ダービー(3歳、セン馬不可、芝12ハロン)が現地3日にエプソム競馬場で14頭により争われ、ディープインパクトが残した最終世代のオーギュストロダン(2番人気タイ)が中団後方からの差し切りで快勝した。

 発馬で4番枠のキングオブスティール(13番人気)がバランスを崩し、2番枠の6番人気ホワイトバーチや3番枠の4番人気ザフォクシーズが煽りを受けて後方からのレースとなる。オーギュストロダンは五分のゲートから中団の後ろに構え、直前にミリタリーオーダー(2番人気タイ)を見ながら要所のタッテナムコーナーに差し掛かった。

 前方ではオーギュストロダンの僚馬サンアントニオ(8番人気)とアデレードリバー(12番人気)がペースを作り、背後を5番人気パッセンジャー、L.デットーリ騎乗の1番人気アレストが固めて坂を下っていった。

 直線に入るとオーギュストロダンと並ぶように内ラチ沿いで息を潜めていたキングオブスティールが馬群の中を抜け出し先頭へ。外を回ってオーギュストロダンが追撃し、最後の1ハロンは一騎討ちの様相を呈す。オーギュストロダンは父譲りの大きく回転の速いストライドでキングオブスティールを追い詰め、体半分かわしてゴールに飛び込んだ。

 さらに4馬身3/4差の3着にホワイトバーチが最後方から追い上げ、デットーリ騎手が最後のダービー騎乗となったアレストは10着、パッセンジャーは追加登録も実らず12着、アダイヤーとの兄弟制覇が懸かったミリタリーオーダーは最下位の14着と、上位人気馬は軒並み後方に沈んだ。

 オーギュストロダンは昨年10月のフューチュリティトロフィーに続く2度目のG1制覇で重賞3勝目。それ以来の3歳初戦となった前走の英2000ギニーは道悪や発馬直後の不利もあり12着と1番人気を大きく裏切る格好になったが、この日は堅良(Good to Firm)馬場に恵まれて持てる力を遺憾なく発揮した。

 A.オブライエン調教師は2020年のサーペンタインに続くダービー制覇で自身の持つ記録を更新する9勝目、R.ムーア騎手は2013年のルーラーオブザワールド以来、10年ぶりの3勝目とした。