FIFA ビーチサッカーワールドカップ 2019が11月21日(日本時間22日未明)に開幕する。開催国は南米大陸の内陸国パラグアイの首都アスンシオンだ。

同国は南米サッカー連盟(CONMEBOL)本部の所在地として有名だが、その南米連盟本部ビルからも近い位置に新設された専用スタジアム「ロス・ピニャンディ」が舞台だ(パラグアイの先住民族グアラニー族の言葉で「裸足」を意味するそうだ)。

ラモス瑠偉監督率いる日本代表は、大会初日に開催国パラグアイ代表との試合に登場。開催国の初戦ということで、大いに注目されることだろう。

ビーチサッカーというスポーツに馴染みの薄い人も多いだろうが、この開幕戦には大いに注目したい。

ビーチサッカーはブラジル、リオデジャネイロの海岸で生まれた遊びがルーツだ。

リオは有名なコパカバーナをはじめ風光明媚な海岸に取り囲まれた街で、またブラジルは言わずと知れたサッカー王国だから、人々は当然のようにビーチにボールを持ち込んで楽しんでいたのである。その後、多くの国で“ビーチサッカー”は楽しまれるようになっていったが、レクリエーション・スポーツだったから、各地で様々な形態で楽しまれていたという。

1990年代に入って統一ルールを作ろうという動きが起こり、1993年に北米を代表するビーチ、アメリカ・フロリダ州のマイアミビーチで初の国際大会が開かれた。そして、1995年には本場中の本場リオのコパカバーナで初の世界選手権が開かれた。

以後、世界選手権は2004年まで毎年開かれているが、開催国はすべてブラジル。そして、ポルトガルが1度優勝した2001年大会以外はすべてブラジルがタイトルを守った。

当時、ビーチサッカーは「ビーチサッカー・ワールドワイド(BSWW)」という組織が統轄していたが、2005年にはビーチサッカーもFIFAの管轄下に入り、世界選手権は「ビーチサッカー・ワールドカップ」という名称で開催されることとなった。

ちなみに、この競技の正式名称は「フットボール」ではなく「ビーチサッカー」という英語だ。たとえば、パラグアイで開催される今年の大会は、スペイン語でも「COPA MUNDIAL de BEACH SOCCER de la FIFA」となるのだ。

FIFA管轄下で行われるようになったワールドカップは、2005年から09年までは毎年、そして2011年以降は奇数年に1年おきに開催され、今回がワールドカップとしては10回目ということとなる。2007年まではやはりブラジルがホストとなっていたが、以後は各国持ち回りで行われ、タヒチ(2013年)とかバハマ(2017年)といった小さな国も開催国に名を連ねている。

この頃から国際的にも普及が進んだ。FIFAの管轄に移ってからもワールドカップではブラジルの天下が続いていたが、隔年開催となった2011年以降はロシアが2連覇し、次にポルトガルが優勝。ブラジルは前回2017年のバハマ大会で4大会ぶりにタイトルを奪還。以前に比べると、国際競争はだいぶ激しくなってきている。

今年の大会も同じ南米のパラグアイでの開催ということもあってブラジルが最有力の優勝候補だが、激しい優勝争いが繰り広げられるだろう。

ビーチサッカーは、1チーム5人制で交代は自由。12分×3ピリオドで行われるなど、もちろん普通のサッカーとはルールが大きく違う。そして、何よりも違うのがその名の通り、ビーチすなわち砂の上で行われることだ。当然、芝生のピッチで行われるゲームと比べれば、ボールのバウンドがまったく違うし、ボールの動きも不規則となる。

ただ、足でボールを扱うという意味では11人制のサッカーとも、フットサルとも共通。ピッチの状態はそれぞれ芝生だったり、ハードコートであったり、砂であったりとそれぞれ違うのだが、足でボールを扱う難しさは共通。手でボールを掴むことができるバスケットボールやハンドボールと比べると、足ではボールを掴むことができないので、ボールの所有権がいつでも相手チームに移る可能性がある。それが、サッカー、フットサル、ビーチサッカーの共通の特徴となる。手でボールを扱うスポーツではボールが相手チームの所有に移るターンオーバーはビッグプレーなのだが、サッカー系のスポーツでは日常茶飯事だ。

そんな共通性があるだけに、ビーチサッカーもやはりサッカーの一種。ビーチサッカーを一度も見たことがなくても、サッカーを知っている人が見ればすぐに大体のことは理解できて楽しむことはできる。

さて、日本代表が入ったグループAは日本、パラグアイのほか、スイスとアメリカが同居している。このうちパラグアイとスイスは前回大会でも準々決勝進出を果たした強敵だ(日本は前回はグループリーグ敗退)。一方、アメリカはビーチサッカーの歴史では大きな役割を果たした国で、初期の世界選手権では好成績を残しているものの最近は上位進出がない。いずれにしても実力はかなり接近しているはずで、グループ最終戦(11月25日)のスイス戦が決勝トーナメント進出を目指す大一番となるだろう。

ビーチサッカー日本代表は2005年にベスト4という成績があるが、最近はグループリーグ敗退とベスト8の繰り返しとなっている。10月、11月にカタール、UAEでの国際大会に連続出場。スペインやロシアといった強豪には敗れているものの、いずれも1点差の惜敗だった。

このところ各カテゴリーのワールドカップでサッカーの日本代表はすべて(2018年ロシア・ワールドカップ、2019年のU20、U17、女子の各ワールドカップ)決勝トーナメント1回戦(ラウンド16あるいは準々決勝)で敗退している。ビーチの日本代表には、ぜひ決勝トーナメントで勝利して2度目のベスト4進出を目指してほしい。

文:後藤健生

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