やはりそう来たか──。

正直な第一印象である。遅かれ早かれ、彼の周囲から去就に関する情報が飛び込んでくるのは必至だったからだ。可能性は残されているが、4位以内は約束されていない。リーグカップ決勝の相手はマンチェスター・シティである。

「チャンピオンズリーグの出場権を獲得できなかった場合、残留は難しい」

トッテナムのサポーターにとって、恐れていたことが現実になるかもしれない。ハリー・ケインの周辺から、不快なニュースが聞こえてきた。

来シーズン以降(現行の契約は2024年6月末日まで)もクラブに留まったとして、CLに出られるのだろうか。ライバルの総合力を踏まえると、少し否定的に考えもする。

いつになったらタイトルを獲れるのだろうか。イングランド代表で同じ釜の飯を食うリヴァプール勢は、プレミアリーグとCLで優勝している。マンチェスター・シティのメンバーは、イングランドのテッペンに立った。今年7月で28歳。ちょっと焦りもする。

もちろん、今回の情報はケインが発信したわけではなく、トッテナムの公式アナウンスでもないが、クラブの現状から推測すれば、十分に考えられる内容だ。

最終成績に関わらず、ジョゼ・モウリーニョ監督は今シーズン限りで退陣する公算が非常に大きい。メディアがリストアップした後任候補はユリアン・ナーゲルスマン(現ライプツィヒ監督)だったり、アントニオ・コンテ(現インテル・ミラノ監督)だったり……。かつて、チェルシーやリヴァプールなどを指揮したラファエル・ベニテスも、プレミアリーグ復帰に興味津々と伝えられている。新監督は、ケイン残留を最優先するに違いない。

ただ、彼の心がトッテナムから離れつつあるのだとすれば、慰留するのは至難の業だ。ダニエル・リヴィー会長をはじめとするスタッフが説得したとしても、ケインが望むような戦力を、ライバルに引けを取らないような陣容をトッテナムの知名度と財力で揃えるのは、困難が過ぎる作業といって差し支えない。コロナ禍という特殊状況も加味される。

しかも、モウリーニョの度重なる責任転嫁により、クラブ内のムードは芳しくないという。まとまりのないトッテナムが最終盤で本領を発揮できるのだろうか。

1−3で敗れた31節のマンチェスター・ユナイテッド戦も、後半は一体感の違いがピッチ内に顕在していた。あのパフォーマンスでは勝てるはずがなく、残り7試合で4位ウェストハムとは6ポイント差。なんとも悩ましい。

はたしてレビー会長は、ケインを留め置けるのだろうか。ちなみに移籍金は、コロナ禍では拠出不可能な推定1億4500万ポンド(約217億5000万円)。いや、彼が離脱の意思を固めれば、マネーゲームを挑むクラブが必ずや現れる。

この夏、トッテナムとケインの周辺が慌ただしくなるかもしれない。

文:粕谷秀樹