ダルビッシュ有がやって来る!

ノンウェイバー・トレード期限ぎりぎりで、今年の目玉投手を獲得したのはドジャースだった。この一報を、前田健太はどのように受け止めているだろうか。

同じ大阪出身の2人が、プロで初めて対峙したのは2010年の交流戦、5月15日だった。

前年までに3年連続で防御率1点台と驚異的な成績を残し、既にプロでトップレベルのステータス達していたダルビッシュが、打席に入った前田に対して持ち球のほとんどを投げ込んだのは有名なエピソードだ。

「セ・リーグを代表するピッチャーになってもらいたい」との激が込められたダルビッシュからの10球を受け取った前田は、その年に投手3冠を獲得して沢村賞を受賞するなど大きく飛躍する。

当時の1件がきっかけで親交が深まり、前田はダルビッシュから変化球の投げ方やトレーニング方法、食事までのアドバイスを受けるようになったそうだ。

そのダルビッシュと、少なくとも今季の残りはチームメイトとして西海岸の名門でプレーする。

もちろん、価値観を共有できる先輩の加入は喜ばしいところではあるだろうが、前田の置かれた立場がそうとばかりも許さない。

前田は直近3先発で、いずれも5イニングスを投げて自責点1で3連勝。気がつけば、勝ち星はチーム3位の9つを数えるが、良化してきた防御率も4.09でまだ先発陣ワーストだ。

ダルビッシュの加入により、チームはエースの故障離脱の穴を最小限に食い止めることができそうだが、層の厚い先発ローテーション枠を争う投手は、依然として結果を残せなければ弾かれる状況にある。

クレイトン・カーショウの復帰後はダルビッシュとのダブルエース体制で29年ぶりの頂点を狙うことになりそうで、そこへ今季好調のアレックス・ウッドと調子の上がってきたリッチ・ヒルの両左腕が続く。

ブランドン・マッカーシーの今季3度目の故障者リスト入りにより、前田は次の先発を任されることになったが、仮にそのポジションをキープできたとしても、ポストシーズンでは先発できない。

前田なら、カーショウやダルビッシュからバトンをつなぐ役割も、任されれば意気に感じそうだが、チームはブルペンに左腕トニー・ワトソンも加えており、ブルペンの底上げにも成功している。

正念場は続く。今季はもう、安寧は許されない状況だ。チームがプレイオフで敗退するまで、前田は自らの存在感を証明し続けなければならない。