通常のSuper GTのレースであれば、ドライバーはスタートとゴールいずれかを担当して、1スティント走行すればいいが、第2戦の富士500kmや第6戦の鈴鹿1000kmのように、複数のスティントを走らなくてはならないレースも存在する。そんな時、上位を走れていればいいが、トラブルなどを抱えてまったく勝ち目がない時、ドライバーはどんな心境なのだろう。

「モータースポーツは、例えばサッカーのように、すぐできる競技ではないですよね? 試合はできなくても、ボールに触って練習はできます。けれど、僕らドライバーは実際にクルマに乗ること、ましてGTに乗ることはなかなかできません。そうすると次に乗るまでモヤモヤしているのって、逆に疲れるんです。気持ちを切り替えないと、もっと悪くなっちゃう可能性もあるので。うまく切り替えないと、引きずり方が長くなっちゃうというか。自分としては、そんな考え方をしています」

 そう答えてくれたのは、KEIHIN NSX−GTをドライブする塚越広大選手。なるほど、どんな時でも前向きになれるよう、気持ちを切り替える必要があると。もしかしたら、状況が急転しないとも限らないし、そうなった時にも十分対応できるようにしておくわけだ。では、逆に「こんなことが起こってしまったら……」とイメージするようなことはあるのだろうか?

「悪くなっちゃった時のイメージは、僕はしていないです。あんまり余計なことは考えないようにして。方向だけは間違わないように、自分の筋は作りますけど、あんまり『何か起こるかも』という負の方向には考えないですね。まぁ、ドライバーによってスタイルも違うので、僕みたいに勢いで行く人もいるし、細かく計画を立てて、やって行くドライバーもいると思うので、それはそれで面白いと思いますけども。とりあえず、行ってダメだったら、その時考えようと。うまく行っている時は、その流れを続けようと。何か悪い流れを考えたり、想像したりすると、そっちに持っていかれるような気がするんです。そういうのがよぎったとしても、口には出さないし……。かといって、気にしないようにする時点で、もう気にしているので(苦笑)」と、塚越選手。

 むしろ心がけているのは「前向いて行こうって、気楽に行けるのがいちばんかな、そう思っています」とのことで、あくまでポジティブ。きっと、そんな心がけ方は他のドライバーにも共通しているに違いない。