お笑い芸人もビックリの掴みの早さである。4日のマリーンズ戦でサヨナラタイムリーを放ったわれらが“アベちゃん”こと、阿部俊人はお立ち台で「今の気持ちを」とマイクを向けられると、まずこう言った。

「そうですね、アベノミクス」。

アベちゃんだけに、アベノミクス…。もはや“タイムリー”でもないワードだが、あまりに予想外すぎる一言目に、スタジアムはどっかんと笑いが起きた。

雨の中、最後まで応援した本拠地のファンは大喜び。あちこちから「アベノミクスー!」の“声援”が飛ぶと、「ちょっと、もうアベノミクスはうるさい」と今度は場内を制止。

持ち前の不思議トークも全開に、ファン全員と対話を楽しむような爆笑ヒーローインタビューが展開された。

阿部が勝利をもたらしたこの試合は、終始重苦しい流れが続いていた。先発の岸孝之が初回に2失点。

その後も粘って7回2失点と試合を作ったものの、イーグルスの反撃は3回の茂木栄五郎のソロによる1点止まり。終盤まで15者連続凡退と反撃の糸口すらなかった。

しかし、1-2のビハインド迎えた9回だった。1死満塁のチャンスで聖澤諒が犠牲フライで2-2の同点に。

そこで、この回から代わった阿部が、ライトの守備も見送るだけの痛烈な打球をフェンス際に運び、サヨナラ勝ちをもたらしたのだ。まさに劇的結末だった。

◆チームNo.1のエンターテイナー?見せつけるサブキャラの底力

「スーパーサブ」の阿部はこれが今季20試合目、打席数はわずか8打席目。内野のすべてを守れるユーティリティプレイヤーで、主に守備固めやケガ人が出た時のバックアップとしての出場が多い。

走攻守でいえば「走」と「守」の助っ人的存在。そんな阿部が「攻」でもチームを救えることを証明した。

前日のライオンズ戦では、茂木栄五郎に代わってショートを守ってきた三好匠が自打球で左足甲を骨折し、全治6週間と発表された。

さらなるケガ人の離脱とともに、その試合でイーグルスは今季初の同一カード3連敗を喫したばかり。12連勝と勢いを増したライオンズに3タテを喫し、ついに首位からも陥落した。

そうした中、本拠地で迎えたマリーンズ戦だった。最下位のマリーンズ相手に岸が先発しても、終始ビハインド。続く重苦しいムードを変えたのが、チームいちのエンターテイナー「アベちゃん」だった意味は殊更に大きい。