8月18日(金)に国内最高峰リーグ「トップリーグ」が開幕する。新シーズンへ向けて各チームの準備が進むなか、その手腕が注目される新指揮官のひとりが、トヨタ自動車ヴェルブリッツのジェイク・ホワイト氏。南アフリカ代表ヘッドコーチ(HC)として2007年のワールドカップを制した世界的名将だ。

しかしトヨタ自動車が今季招へいした大物コーチは、ホワイトHCだけではない。

同チームのディフェンス・ブレイクダウンコーチに就任したジョン・マグルトン氏は、15人制ラグビー(ラグビーユニオン)のディフェンス・システム発展に大きく貢献したといわれる伝説的な人物だ。

マグルトン氏はオーストラリア・シドニー出身の57歳。1970年代後半から80年代にかけて、13人制ラグビー(ラグビーリーグ)の選手としてバルマン・タイガース、パラマタ・イールズ(ともにオーストラリア)、ハルFC(イングランド)でプレー。「カンガルーズ」こと13人制のオーストラリア代表でも活躍した。

日本ではなじみの薄い13人制だが、イングランド北部、オーストラリア東海岸、ニュージーランド北島の北部で絶大な人気を誇る。

1895年、イングランドで15人制から分離する形で発祥した13人制は、アマチュアリズムを堅持する15人制に対し、週末にプレーする労働者のために休業補償を行うなどプロ化を容認してきた。

1995年にプロ化を認めた15人制に先んじて、100年前からプロフェッショナリズムと共にあった13人制では、プレー技術などが精緻に発展。しかし数少ない交流試合があるのみで、両競技が交わることはほとんどなかった。

ところが1997年にひとつの風穴が開く。1989年に選手として第一線を退いたのち、オーストラリアのノース・シドニー(13人制)でコーチをしていたマグルトン氏が、「ワラビーズ」こと15人制オーストラリア代表のディフェンスコーチに就任したのだ。

マグルトン氏が13人制から持ち込んだディフェンス・システムを採用したワラビーズは、1999年のワールドカップで2大会ぶり2度目の優勝を果たす。大会6試合で許したトライは、わずかに1トライだった。

以後、13人制出身コーチのパイオニアとなったマグルトン氏の名声は高まり、“ディフェンスの伝道師”として、これまでジョージア代表など世界中のチームで知恵を伝えてきた。

1999年以降は、2003年ワールドカップでイングランド代表のディフェンスコーチを務めたフィル・ラーダー氏など、13人制の経験者が15人制のナショナルチームで活躍。

海外では、このマグルトン、フィルの両氏をはじめとする13人制出身コーチが、15人制のディフェンス・システム発展に大きく貢献したといわれている。

そんな大物ディフェンスコーチが今季、トヨタ自動車のコーチングスタッフとして来日したのだ。

トヨタ自動車は7月22日(土)、北海道・網走で行われたサントリーサンゴリアスとの練習試合に21−19で勝利。

勝利の余韻が漂うなか、試合後のマグルトン氏にインタビューを行い、15人制転向の経緯から日本での生活までを語ってもらった。