一昨シーズンは7位と好調で、昨シーズン、近鉄ライナーズは「打倒トップ4」を掲げて臨んだ。

だが結局、波に乗ることができず13位に終わり、入替戦に回ってトップリーグに残留した。

今シーズンは、2019年ワールドカップに備えて改修しているため、ホームの花園ラグビー場が使用できない中、再び、上位に進出する足がかりとなるシーズンにすることができるか。

各ポジションに中軸となる選手、ベテラン、新人のバランスも良く、アシスタントコーチから就任した坪井章監督も、昨シーズンは自信を持って臨んだはずだった。

開幕戦は昨シーズン「2冠」の王者に13-14で敗戦したものの、互角の戦いを演じたが、2勝3敗で迎えた第6節から9連敗を喫してしまった。

FW(フォワード)、BK(バックス)ともにケガ人が多いシーズンで、なかなかメンバーを固定できなかったことが、苦戦の大きな要因となった。

ただ、坪井監督が「ケガ人が多かったことが、その反面、チーム全体としての底上げにもつながった」と振り返るように、身長204cmのLO(ロック)マイケル・ストーバーグは14試合に出場したことで急成長。

3年目だったFL(フランカー)堀大志も実力を発揮、さらにルーキーだったSO(スタンドオフ)野口大輔も落ち着いたゲーム運びとプレースキックを見せて、十分にトップリーグで戦えることを証明した。

また、強化ポイントの一つだったというスクラム、そしてラインアウトといったセットプレーは、シーズンを通して安定しており近鉄の武器となった。

ヤマハ発動機とも互角にスクラムを組み、47-0で勝利した入替戦の九州電力戦でもセットプレーで相手を圧倒。一方、昨シーズンは12敗中6試合が7点差以内の敗戦で、決定力という課題も浮かび上がった。

そのため、今シーズンも指揮を執る坪井監督は「いかにしてトライを取り切るかということにフォーカスして行きたい」と意気込んでおり、アタックでは進化が見られそうだ。

そんな近鉄のスローガンは変わらず、「MOVE FIRST」だ。「常に先手を取って、開始から80分間ゲームを支配する。

先手を打つ為の準備を、妥協なく実行する。早い動きだしのマインドカルチャーを構築する」という思いが込められている。

昨シーズンから12人が引退や移籍などでチームから去り、今シーズンは11人が新たに加わった。

そのため、リーダー陣も一新し、代表キャップはないが実力者として知られるHO(フッカー)樫本敦が新たにキャプテンに、安定感あるプレーがウリのCTB(センター)森田尚希が副キャプテンに就いた。

FWを見ると、やはり第1列は昨年度までキャプテンを務めていたPR(プロップ)は豊田大樹、社会人になりPRに転向した田中健太、スクラムの要の前田龍祐、ケガから復帰した王鏡聞、才田修二、新人の山口知貴(天理大学出身)。

そしてHOは樫本キャプテンを筆頭に、永下安武、サニックスから移籍した高島卓久馬、若手の熊崎伸治朗がおり、昨シーズンからスティーブ・カンバランドFWコーチが指導しているスクラムは、今シーズンも計算できる。

また、LO陣はストーバーグと6月に日本代表に復帰したベテランのトンプソン ルークを筆頭に、仕事人の松岡勇、バックローもこなす村下雅章、新人の尾上俊光(明治大学出身)、寺田桂太(帝京大学出身)がおり、ラインアウトも安定しそうだ。

FLとNO8(ナンバーエイト)のバックローは、16年目の佐藤幹夫、13年目のタウファ統悦といった2人の大ベテランを中心に、機動力があり、ジャッカルが得意な辻直幸やタックラーの田淵慎理、急成長した堀がいる。

さらに新加入の元ニュージーランド7人制代表のイオプ・イオプアソ、サントリーから加わったソロモン・ティーポレと、黙々と仕事する選手が揃っている。