左足首骨折からわずか4カ月足らず。復帰2レース目で優勝という驚くべき復活劇を見せたマルセル・ヒルシャー

 レヴィ(フィンランド)で男女のスラローム第1戦が行なわれた後、11月の下旬からワールドカップは北米大陸に渡った。男子はレイク・ルイーズ(カナダ)からビーヴァー・クリーク(アメリカ)を転戦し、2回の週末に合計5レースを開催。ビーヴァー・クリークでは、アクセル・ルンド・スヴィンダール(ノルウェー)がダウンヒルで、そしてマルセル・ヒルシャー(オーストリア)がジャイアント・スラロームで優勝した。ふたりは、それぞれワールドカップの高速系と技術系を代表するスター選手。ともに負傷明けでありながら、その実力をまざまざと見せつける圧巻の滑りで、存在感を示した。

 さて今週、ワールドカップはふたたびヨーロッパに戻ってきた。アルプスに本格的な冬の訪れを告げるフランス・イタリアシリーズが始まるのだ。

 その幕開けはヴァル・ディゼール(フランス)。今週末にジャイアント・スラロームとスラロームのそれぞれ第2戦が行なわれる。大会名は『クリテリウム・デ・ラ・プレミエール・ネージュ』で、今年で第62回目となる。その意味するところは初雪大会。アルプスが雪で覆われ、いよいよスキーシーズンが到来したことを喜ぶ待望のイベントなのだ。

 ヴァル・ディゼールのワールドカップコースは、大きくふたつに分かれる。村に入ってすぐ、くねくねと曲がりくねって下りてくるのが「OKコース」。ヴァル・ディゼール出身のふたりの偉大なレーサー、アンリ・オレイエとジャン・クロード・キリーの名前からとった伝統のコースだ。かつてはここで男子のダウンヒルが行なわれていたが、現在では主に女子の高速系とジャイアント・スラロームのコースとして使われている。今年も男子の翌週、女子の3レースが行なわる予定だ。もうひとつは「スタッド・オリンピック・デ・ベルヴァルド」。通称ベルヴァルドの壁と呼ばれるコースだ。こちらは鋭い岩峰から村の中心部に向かってまっすぐ落ち込むコースで、名前が示す通りアルベールヴィル五輪(1992年)のときに開かれた。どちらかといえば緩やかなOKコースとは対照的に、徹底して急斜面が続く急峻なコース。ゴールから見上げると、ほぼ全コースが見渡せる一枚バーン。一見単純なコースのように思われるのだが、しかし実際に立ってみると、複雑にねじれた極めて厄介な地形だ。しかも例年硬く氷結し、恐ろしいばかりのアイスバーンに仕上げられる。一瞬のミスが命取りとなるワールドカップでも有数の難コースと言えるだろう。