「会場内は作曲家の方の指定席がございます」

岡山シンフォニーホール(岡山市)が2020年6月13日のツイートで紹介した、音楽ホールならではの新型コロナウイルス対策が話題になっている。

作曲家用の指定席とは、どういうことなのか。その様子がこちらである。

豪華な先客がいる...(画像は岡山シンフォニーホール提供)

ベートーベン、バッハ、モーツァルト...大ホールに1席ずつ空けて貼られているのは、名だたる作曲家たちの似顔絵。その下には、

「この席は私の席です ご遠慮ください」

と書かれている。

ツイッターではこの様子に対し、

「両隣が作曲家!ワクワクしますね」
「誰がとなりになるか楽しみですね!」
「ベートーベンの隣に座れたらガッツポーズしちゃいますわ」

といった声が寄せられている。

「少しでも気持ちが和らぐようなものを」

Jタウンネットは15日、岡山シンフォニーホール館長の高次秀明さん(注・高ははしごだか)に詳しい話を聞いた。

高次さんによれば、作曲家たちの似顔絵を貼ったのは6日ごろ。13日に大ホールの使用があったため、それに向けて制作したという。

壮観だ(画像は岡山シンフォニーホール提供)

高次さんは作曲家の貼り紙を作った経緯について、次のように話す。

「こういった状況でパフォーマンス業界がいろいろ試行錯誤している中、どうやったら活動を再開できるかということを考え、5月末からまとめ始めました。我々はオーケストラ(岡山フィルハーモニック管弦楽団)も持っており、秋以降に演奏会をやりたいという思いがあります」

音楽団体のイベントは3月以降、軒並みキャンセルに。ステージ上の「密」を避けるため曲目変更が間に合わず、中止になった演奏会もある。

貼り紙に作曲家たちの絵を描いた理由については、

「距離の推奨値は2メートルなので、1席空けて前の人と被らないようにしました。その際に職員が『この席は座れません』と貼り紙を印刷しているのを見て、ちょっとそれは無粋だろうと。
コンサートホールなんだから作曲家の顔写真でも貼ったらと。こんな状況なので、お客さんがニヤリとするような、少しでも気持ちが和らぐようなものを考えました」

とのことだ。

似ている(画像は岡山シンフォニーホール提供)

イラストは絵の上手な職員が描き、文面は高次さんが考えた。すでに貼られているのはベートーベン、バッハ、モーツァルト、ブラームス、ヴェルディ、の5パターンで、現在はシューマンを制作中。13日のイベントは講演会だったが、来場者からは「和んだ」との声があったという。

高次さんによれば、よほど状況が好転しない限り、チケットは21年3月末まで通常の半数にあたる1000席(全2001席)で販売する。貼り紙は今後しばらく続ける予定だ。

高次さんは今回のコロナ対策が話題になったことについて、

「思いのほか反応が多くあり、僕らにとっても励みになりました。イベントの開始を皆さん待ち望んでらっしゃるんだなと。演奏会を1日も早くスタートするのが僕らの指名かなと思います」

としている。