「本棚に残された本の亡霊たち」

そんなコメントが添えられた写真が、ツイッター上で話題だ。

「本の亡霊」とはどういうことだろう。もしかして、以前の所有者の霊が本棚にとり憑いている......といったホラーな話なのか?

気になる「亡霊」を写した一枚が、こちらだ。

くっきりと跡が残っている(以下、画像はミツジ@masala_mitsujiさんのツイートより)

かなり年季が入っていそうな、木製の本棚。その奥の白い壁に、いくつもの長方形の「跡」がある。

どうやら、長い年月の間に壁が汚れてしまったものの、本が置かれていた場所だけは覆われていたため、こうした「跡」が残ったようだ。かつてそこに本があったことの名残......たしかに、「本の亡霊」と言えるかもしれない。

こちらの写真に対し、ツイッター上ではこんな声が。

「すごい...そういう壁紙なのかと思ったくらいクッキリ」
「本の影が焼き付いてる...」
「額縁に入れて飾りたいような衝動に駆られますねえ」

写真は、福岡県福岡市でカレー屋を営むミツジ(@masala_mitsuji)さんが21年9月30日に投稿したもの。Jタウンネット記者は10月1日、本人に話を聞いた。

「亡霊」の正体は...

ミツジさんが「本の亡霊」を発見・撮影したのは、先月亡くなったミツジさんの義父の家。遺品整理のために訪れていた。

「本棚には、日本の歴史書や海外の有名な文学作品などが多数ありました。義父は普通のサラリーマンでしたが、読書家で歴史好きだったので、こうした書物をよく集めていたようです。
ただ、かなり冊数が多い上に、私にはどの本にどれくらいの価値があるのかよくわからなかったので、選別するのが大変でした」(ミツジさん)
撤去前の本棚。数々の歴史書が蔵書されていた

29日から業者による本の撤去が始まり、30日にようやく全ての本を片付けたら、「本の亡霊」が現れたそうだ。

それにしても、どうしてここまでくっきりと「跡」が残っていたのだろうか。その理由をミツジさんは以下のように説明する。

「この本棚がある部屋は、34年前に義父が家を建てた時にユーティリティルーム(家事をしたり、物置にしたりするスペース)として作られたんです。
けれど、実際には義父の書庫兼義母の温灸施術部屋として長年使われていました」

ミツジさんの義母は温灸治療の資格を持っており、この部屋でよく近所のお年寄りなどに施術を行っていた。その温灸の煤が長い年月をかけて本の隙間に入り込み、そのまま壁にこうしたシルエットを残していったのではないか、とのことだ。

「流石に途中から義母も気付いたようで、後付けで書架にカーテンを取り付けていたようです。
跡が濃い場所にあった本は取り付け前に、薄い場所にあった本は取り付け後に並べられた、という感じで推測もできますね」(ミツジさん)

薄気味悪さもあり、寂しさもあり......

そこにまだ本があるかのようだ

「本の亡霊」を発見したときの感想をミツジさんに聞いてみると、

「途方に暮れるしかなかった大量の蔵書が業者さんの手で綺麗に撤去され、それでも前日までの姿がクッキリと残っている様は、まさに『本の亡霊』のように見えました。
薄気味悪さもあり、ようやく整理が終わるという嬉しさもあり、寂しさもあり、と色々な感情がないまぜになった複雑な気持ちでした」

と振り返った。

なおミツジさんによると遺品の整理が終わり次第、この家は売却され、解体処分が行われる。

棚に入っていた本も、一部は業者に引き渡され、他はその他の家財と一緒に処分されたという。