お盆休み中、お墓参りをした人は多いだろう。その時の様子を少し思い出していただきたい。

中には、墓前の地面に容器を直接差し込んで、線香や花をお供えしたという人もいるのではないか。

地面に直接差し込んだ筒に花を入れる(画像はイメージ)

このやり方は、奈良市にある世界遺産「古都奈良の文化財」の一部である律宗総本山・唐招提寺でも見られる。

ここでは先師のお墓参りの際、地面に直接打ち込んだ竹筒に線香や花をお供えしているという。

唐招提寺は2022年8月5日、ツイッターアカウント(@Toritsushodai)でその準備の様子を紹介。そこに「情報求む」と書き添え、ちょっと変わった呼びかけを行った。

墓前に打ち込む竹筒の「名前の由来」が知りたいというのだ。

竹筒の独特な呼び方

地面に直接線香や花をお供えするための用具は、「地刺線香立」「地刺花立」「野立て」といった名前で販売されており、素材はステンレスやポリエチレンが多いようだ。

唐招提寺で使用しているものは、竹製の筒。同寺ではこれらを「ゴボッチョ」「ゴンヅツ」と呼んでいるらしいのだが――

「その由来を誰も知りません・・・」(唐招提寺のツイートより)
竹筒の名前の由来がわからない(画像は唐招提寺@Toritsushodaiのツイートより)

9日、Jタウンネット記者の取材に応じた唐招提寺のツイッター担当者はこう話す。

「地面に竹筒などを刺して線香や花をお供えするのは、宗派や地域を問わず全国で見られることで決して珍しくないです。
ただ、竹筒を『ゴボッチョ』『ゴンヅツ』と呼ぶのは、唐招提寺ならでは。独特の呼称なんです」

唐招提寺では毎年8月6日に先師達のお墓参りを行っており、その時期が近づいてきたことで、ツイッター担当者は「ゴボッチョ」「ゴンヅツ」の名前の由来を調べることにした。

しかし、いざ調査を始めてみると、一筋縄ではいかなくて......。

誰も由来を知らない

「お寺の上の世代の方に聞いても、誰1人として『ゴボッチョ』『ゴンヅツ』の由来を知らないんです。
呼び方が定着しているだけで、みんな『昔からそう言われている』としか言わないのです......」(唐招提寺のツイッター担当者)

上の世代ですら知らない名前の由来。ツイッター担当者はさらに調べを進めたが、伝承があるわけでもなく、何もわからなかったという。

誰に聞いても竹筒の名前の由来がわからない(画像は唐招提寺@Toritsushodaiのツイートより)

唐招提寺には様々な地域の僧侶が訪れるため、他地方の方言なんかが入ってきていてもおかしくない。そこで担当者は、様々な言葉を調べたという。

そこで行き当たった甲州弁の「ぼっちょ」(「でっぱり」や「つまみ」などの意味)に「御」をつけて「ゴボッチョ」になったのではないか。「厳筒(ゴンヅツ)」は仏前をかざるために発展した「荘厳華(しょうごんか)」をかざるための筒を略したものなのではないか......担当者は妄想を繰り広げたが、「しっくりきませんね。こじつけが過ぎます」とツイート。

記者の取材には憂わしげな声で「もう気になって仕方がないです......」と漏らした。

ただ、お寺の人が誰もわからなくても、日本のどこかに知っている人がいるかもしれない――わずかな望みにかけて、ツイッターで「ゴボッチョ」「ゴンヅツ」の情報を募集するに至ったという。

唐招提寺のツイッター担当者は、「もし少しでも何かご存じの方がいれば教えてほしい。言葉に意味を持たせて伝統を次の世代に繋ぎたい」と訴える。

唐招提寺以外の場所で「ゴボッチョ」「ゴンヅツ」という呼び名に出会ったことがある人は、ぜひご協力を!