マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界

第九十六回 大阪の有名ラーメン店「人類みな麺類」と「きんせい総本家」のカップ麺

文・写真:オサーン

カップ麺ブロガーのオサーンです。

「ご当地カップ麺」連載の第九十六回目となる今回は、どちらも大阪の有名ラーメン店が監修する、日清食品「人類みな麺類Red めっちゃうまから!旨だしトマトらーめん」と、東洋水産「きんせい総本家 夢風 焦がし風味噌ラーメン」をレビューします。

前者はローソン限定、後者はセブン-イレブン限定の商品です。

「人類みな麺類Red」(左)と「きんせい総本家」(右)のカップ麺

大阪の有名ラーメン店「人類みな麺類」と「きんせい」のカップ麺

今回レビューするカップ麺2品は、ともに大阪の有名ラーメン店の味を再現した商品です。

大人口を抱える大阪ですが、その割には全国的に名を轟かせるようなラーメン店の噂を少し前まではあまり聞かなかったように思います。

大阪市東部や東大阪で昔から親しまれる「高井田ラーメン」がたまに話題にのぼることはあったものの、全国的な知名度とは言い難く、大阪にラーメンのイメージはほとんどなかったのではないでしょうか。

ただ大阪の周辺には、京都ラーメン、和歌山ラーメン、奈良天理ラーメン、徳島ラーメンなど、全国区のご当地ラーメンが多いですし、日本の麺文化のルーツとさえ言われる三輪そうめんもお隣の奈良発祥。大阪自体も、うどんが好んで食べられる麺文化があり、古くから日本のだし文化を醸成、牽引してきた歴史もあります。

さらには、インスタント麺、カップ麺の元祖である「チキンラーメン」や「カップヌードル」を生み出した日清食品も大阪で創業。この地でラーメン文化が発展しないわけがありません。

「チキンラーメン」と「カップヌードル」はどちらも大阪生まれ

情報化の進展も相まってか、最近は大阪にも全国的に知れ渡る知名度抜群の有名ラーメン店が多くなってきました。

「人類みな麺類」と「きんせい」はまさにそんなお店。2店が監修したカップ麺で大阪ラーメンの味を堪能したいと思います。

ローソン限定「人類みな麺類Red めっちゃうまから!旨だしトマトらーめん」

日清食品「人類みな麺類Red めっちゃうまから!旨だしトマトらーめん」

まずは、ローソン限定発売の日清食品「人類みな麺類Red めっちゃうまから!旨だしトマトらーめん」。

大阪だけではなく東京にも店舗を構え、セカンドブランド店を含め多くのお店を展開する有名店です。

お店の人気メニューはかつおだしや貝だしを用いた甘い醤油ラーメンですが、今回のカップ麺は「旨だしトマトらーめん」というアレンジメニューとなっています。

和風だしのスープとトマトの融合

スープは、かつおだしを効かせた甘い醤油味のスープ。

関西らしく、使われている醤油は香りが穏やかな薄口と思われ、醤油の風味よりもだしが前に出てきます。

甘みが強めにつけられており、かつおだしや粒ごまの風味と相まって、少しそばつゆを思わせるような和風の味わいに感じられました。

スープ表面には真っ赤な油脂が浮いています。

かなり辛そうに見えますが、実際の辛さは中辛〜辛口程度で、激辛なわけではありません。辛味よりもトマトの風味が目立っていました。

それが、やさしいそばつゆのようなスープと合わさることで、和洋折衷のとても新しい味に変化します。

ミスマッチにもなりうる組み合わせですが、スープのかつおの風味と甘さとトマトの酸味が絶妙なバランスで、辛味のアクセントも効果的でした。

「和風チリトマト」と例えても良いかもしれません。

麺には「サイリウム種皮」使用

サイリウム種子入りのノンフライ麺

麺は、サイリウム種皮が練り込まれたストレート形状のノンフライ麺。麺表面につるみがありつつ、しっとりした食感を併せ持った、多加水と低加水のハイブリッドのような食感でした。

ちなみに、「サイリウム」とはオオバコという植物の一種。

食物繊維を多く含んでいるため、小麦と置き換えて麺に練り込むことで糖質を抑えることができます。パンなどにも用いられることが多く、ダイエット食品でよく目にします。

日清食品は以前「サイリウムヌードル」という特定保健用食品のカップ麺を製造していたことがあり、今回の麺はその技術が活かされているようです。

ダイス肉やトマト加工品

具は、ダイス肉と、ダイストマト加工品、そしてごまやネギ。ダイス肉はたくさん入っていてボリュームがあります。

トマト加工品はそれほど多くありませんが、スープのトマト味は主にスープの赤い油脂が担っており、具が少なくてもトマト味は全開でした。

セブン-イレブン限定「きんせい総本家 夢風 焦がし風味噌ラーメン」

東洋水産「きんせい総本家 夢風 焦がし風味噌ラーメン」

続いては「きんせい総本家 夢風 焦がし風味噌ラーメン」。

「きんせい」は大阪・高槻にある人気ラーメン店で、高槻や茨木など北摂地方を中心に店舗展開しています。

「きんせい」といえば、「こだわりの塩」や「極みの醤油」がおなじみの定番メニューですが、今回のカップ麺は「焦がし風味噌」。

お店に同名のメニューはないですが、「きんせい 高槻駅前店」には「焼き味噌ラーメン」という冬期限定の名物メニューがあるようです。

あっさり味噌味が魚介を引き立てている

かつおなど魚介の風味を効かせた味噌味のスープに、中太で縮れのついた油揚げ麺が合わせられています。

味噌ラーメンのスープと言えば、札幌味噌ラーメンのようなガッツリ野太い豚骨をベースに味噌たっぷり油たっぷりの超こってり味を思い浮かべる場合が多いと思います。

しかし今回のスープはそれとは全くの別物で、味噌味はかなり控えめ。

それほど濃くないことで魚介だしを立てており、味噌よりも魚介が主役と感じられる繊細な味わいです。

味噌のイメージが変わるかも!?

焦がし風味の油脂

スープ表面には油脂が浮いており、焦がし味噌風の香りが。とはいえ、ガッツリ主張するのではなくふんわり香る程度に留まっており、魚介味を引き立てています。

他にもニンニクの風味やピリ辛の辛味もつけられていますが、他の味を邪魔しないバランスで丁寧に味が重ねられていました。

味噌ラーメンのこってり感が苦手でも、このスープなら問題なさそう。

逆にいつも味噌ラーメンを好んで食べているなら、多少迫力不足と感じられるかもしれません。

パワー系の味が多い味噌ラーメンのスープとは一味違う、味噌へのイメージが大きく変わりかねない繊細な味でした。

豚肉、メンマ、玉ねぎなど

具として入っているのは、豚肉、メンマ、玉ねぎ、ネギ。

豚肉やメンマがたくさん入っており、スープだけではなく具もしっかり充実しています。

アクセントになっていたのは。玉ねぎの独特な風味と食感。玉ねぎは煮干ラーメンでよく使われていて、煮干しの臭みを抑えつつ甘みを主張する相性の良さがおなじみですが、今回のかつお主体の魚介だしとも相性がとても良かったです。

大阪のだし文化を感じるカップ麺

今回レビューした2品は、「トマト」と「味噌」という、いずれも派手めな味をイメージするフレーバーでありながら、実はどちらもかつおだしの旨みが主役の商品でした。

日本のだし文化を牽引してきた大阪の食が投影されていると言ったら言い過ぎでしょうか。

加えて、「人類みな麺類」からはそばつゆのような和の味とトマトの洋が融合した新しさ、「きんせい」からは魚介を中心に焦がし風味の味噌やニンニクなどが丁寧に重ねられた繊細さが感じられ、どちらもカップ麺離れした奥行きを感じる商品でした。