SOIL&"PIMP"SESSIONSのアジテーター・社長が、SKY-HIとのコラボ曲の制作裏話や、カザフスタンでのライブ体験、制作で大切にしているものについて語った。

ふたりが対談したのは、SKY-HIがナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『DIVE TO THE NEW WORLD』。オンエアは、6月18日(土)。

同番組は今年4月からスタートした。社長も同時期から、J-WAVEで『BENTLEY BEST REGARDS』をお届けしている。ナビゲーターとして のふたりがラジオについて語る特別対談が、動画公開中だ。
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【YouTube】
https://youtu.be/QCvOTJaJVxw

またJ-WAVE NEWSでは、撮りおろし写真とともに対談の模様を記事でも掲載中。

【記事】
https://news.j-wave.co.jp/2022/06/content-331.html

SKY-HIは、いい意味で異質な存在

SOIL&"PIMP"SESSIONS は6月に約2年半ぶりのオリジナルフルアルバム『LOST IN TOKYO』をリリース。このアルバムにはSKY-HIをフィーチャーした『シティオブキメラ feat. SKY-HI』も収録されている。

SOIL&"PIMP"SESSIONS 「シティオブキメラ feat. SKY-HI」 Music Video

社長:この間のライブ(「LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL」)でこの曲を初披露して、僕はそのお礼が言いたいのと、あのときの日高(SKY-HI)くんの立ち振る舞いとか声の熱量みたいなものにあげられて、ライブがなかなかできないなかで、ちょっと忘れかけてたライブの大切さみたいなものを思い出させてもらった感じです。

SKY-HI:今の言葉を録音して、つらいときに聞きます(笑)。

社長:それくらい、いいステージをありがとうございます。

SKY-HI:めちゃくちゃ楽しかったですね。体に音がまとわりついてくる感じが気持ちよくて。久しぶりに味わった感じですね。

“シティオブキメラ feat. SKY-HI” from Love Supreme Jazz Festival ティザー映像

SKY-HI:そもそも僕をなぜ呼んでくれたんですか?

社長:日高くんがラジオとかで選曲するときに、ちょいちょいSOIL(SOIL&"PIMP"SESSIONS)を取り上げてくれてるらしいって話を聞いて。「あのSKY-HIが!」って思って。もちろん存じ上げてたし、すごくポップフィールドで活躍しているにもかかわらず、いい意味で異質な存在だって認識があって興味があったので、「もしかしたら僕のこと好きなのかな?」って。

SKY-HI:あはは(笑)。

社長:そういう空気を感じたから、いつかやりたいなって。アルバムを作るごとにどういう方をお招きするかミーティングをするときに、いつも(SKY-HIの名前をあげていました)。

SKY-HI:ありがたい。僕は(SOIL&"PIMP"SESSIONSが)三浦大知までいったときに、「俺ではないのか」って気持ちはありましたけどね。

社長:ふられた感? 隣のクラスのあの子に行っちゃった感(笑)。そのときも(SKY-HIは)ずっと頭にはあったからね。

SKY-HI:それはうれしい話ですよね。

カザフスタンで文化を生み出す

これまでSOIL&"PIMP"SESSIONSは海外での作品リリースや世界最大級のフェスティバル「グラストンベリー」の出演など、世界中で活動を続けている。

SKY-HI:この前、カザフスタンでもライブをやってたじゃないですか? 想像が及ばなくて。

社長:カザフスタンは面白いよ。これまで4回くらい行ってるんだけど。カザフスタンにクラブジャズとかアシッドジャズみたいなものが好きでしょうがないオーガナイザーがひとりいるのが大きくて、何も土壌がないところに彼がラジオ番組を持って音楽をかけ続けて、フェスもないところで大きなイベントをしかけて、文化をゼロから作り始めたんです。その彼がある種の熱い思い込みで呼び続けてくれてるから僕らはカザフスタンに行けるわけです。

SKY-HI:面白い話だな。

社長:初めて行ったとき、スタンディングでライブをやるんだけど、会場は巨大な結婚式場みたいなところにステージを組んでLEDを入れて、現地のお客さんはそれまで類似したイベントがなかったから、ちょっとドレスアップしていらっしゃったりするんだけど、その人たちはジャズのクラブミュージックで踊ることに初めて触れたんです。

SKY-HI:なるほど。

社長:最初は日本から我々が行って、ヨーロッパとかアメリカからもアーティストが来てライブをやったんだけど、演者たちがステージ脇で踊ってるわけよ。お客さんはそれを見てるのよ。「ああやって楽しむんだ」っていうのをそこで初めて認識して、翌年行ったら普通に盛り上がって。

SKY-HI:すごいですね。それって鉄砲伝来とかと同じで、新しい文化が来たぞって。

社長:そう。0が1になった瞬間。

SKY-HI:見てみたいですね。

社長:だからいい経験できたと思います。

コロナ禍での活動制限の苦悩

続いての話題は、SOIL&"PIMP"SESSIONSのニューアルバム『LOST IN TOKYO』について。

SKY-HI:気が付けば2年半ぶりのアルバムなんですよね。

社長:そうだね。2019年末にアルバムを出して、全国ツアーをまわってる途中でコロナが盛り上がって、ラストの東京公演以降が中止になったの。そこから2年半経ったわけですね。

SKY-HI:ジャズってライブとの接点が近いジャンルだと思うけど、コロナ禍ってライブができないわけじゃないですか。打ち込みだったりすると何とかなるし、自分もそうですけど、純然たるソロアーティストは家からライブ配信もできるので、そういった創意工夫は楽しかったところもあって。ただ、そもそも複数人のバンドでジャズでライブできないってなると、けっこうな心身的負担になったんじゃないのかなって。

社長:あの期間はライブを空けたことがなかったから。例えば管楽器とかもこれだけ音を出してない期間は初めてってトランペットのタブゾンビも言ってたし。

SKY-HI:トランペットを吹ける場所も(なかなかないですからね)。

社長:車の中とかで練習してたもんね。今はこういう曲を作りたいけど、それも半年後にはモードが変わってるってよくあるじゃない。

SKY-HI:よくありますよね。

社長:だからあのときはすごく迷った。デモで形にはしたけど、ほとんどボツにしちゃったし。

SKY-HIがSOIL&"PIMP"SESSIONSとコラボする曲も、もともとは全く違う曲だったという。

SKY-HI:コロナ禍の直前に一緒にやらせてもらって、ある程度は原型ができたけど、全く違うものになりましたよね。

社長:スタジオでセッションしてて、それが終わったときに(一緒に出演するフェスが)中止ですって連絡をもらって。

SKY-HI:ものの見事に全部中止になって、ものの見事に2年後にちゃんとやれるっていうね(笑)。

社長:着地できて本当によかったですよね。

インストのタイトルはすごく大事

SKY-HIが社長に「演奏やレコーディングにおいて何を大事にしているか?」と質問する場面もあった。

社長:よくクオリティって言葉は出るけども、そのクオリティって例えば音楽の正確さとか技術の正しさみたいなところじゃなくて、その曲に対して適切に音が作れているか、プレイできているかっていうことが優先されるのかなって。この曲がどうあるべきか。それに対して、自分たちが思うOKなクオリティはあるけれども、その上でその曲があるべき姿になっているかが、ひとつ大きな判断基準かもしれない。

SKY-HI:自分もご一緒させていただくときに、丁寧に「こういう曲を今作っている」「東京の話をしてくれ」ってことで『シティオブキメラ』って曲にしていったんですけど、そういう話をメンバー間でもよくされるんですか。

社長:なるべく話すようにしてるかも。どういう曲なのかとか。うちのメンバーはみんな曲を書くから伝え方はそれぞれだけど、僕が作るときは「この曲のイメージはこういう世界観になったらいいな」って伝えて。何にしてもインストだから、同じ曲でも「ラブソングを作ってきたから」っていうのと「破壊のテーマで」ってことで捉え方が違うじゃないですか。

SKY-HI:そうですよね。

社長:ちょっと言語で世界観を共有することで、クオリティがより高まるかなって思います。

SKY-HI:インストのタイトルってすごく大事ですよね。

社長:すごく大事。

SKY-HI:例えばセッションをするときにテーマが「新宿」と言われたらやりやすいですよね。イメージしやすいというか。

社長:おのおののイメージはあるけれど、ビジョンが見えるから。

ここでSKY-HIは社長がSOIL&"PIMP"SESSIONSのアジテーターになったきっかけを訊く。

社長:このポジションはバンドが作ってくれたんですよ。僕はずっとDJをやってるところからバンドに参加してるから、最初はサンプラーとかシンセとか、今もやってるんですけど。当時クラブでジャズのスタイルでお客さんを踊らせるのはとても難しいと思われてたっていう時代背景もあって、そこの敷居を少しでも下げる、ステージとオーディエンスをつなぐ役割っていうところから、お客さんの代表みたいな感じで、ステージでお客さんをあおるってポジションがだんだん生まれてきた。

SKY-HI:なるほど。

社長:それに加えて、インストの曲だからポエトリーで「これはラブソングだ」とか言ってから曲が始まるだけで、曲の世界観が広がったりするし。

SKY-HI:ですよね。想像力ってある程度の制限があったほうが膨らんだりするじゃないですか。本当に真っ白い部屋で「全ての色がある状態でお絵描きしていいよ」って言われるのと、3色くらいで額縁があるなかで書くのでは、後者のほうがむしろ想像力が広がったりして。枠からはみ出るって枠がないとできないじゃないですか。

社長:そうだね。

SKY-HI:それを考えると最初にリスナーを導くとか、もっと大きく言うと、バンドやスタッフの意識を持っていくために、言葉って重要やなってホンマ思っとります。

社長:なんでいきなり関西弁になるの?

SKY-HI:出身が……千葉なので(笑)。

社長:千葉だよね(笑)。

SOIL&"PIMP"SESSIONSの最新情報は、公式サイトまたは、オフィシャルTwitterまで。

『DIVE TO THE NEW WORLD』は国内外のさまざまなフィールドで活躍するアーティストやクリエイターたちの“本心”にSKY-HIが“DIVE”していくプログラム。放送は毎週土曜23時から。