芝居、音楽、イラストレーションと多彩な表現活動を続ける、俳優・創作あーちすと のん。2022年には自身が脚本・監督・主演を務める映画『Ribbon』の公開を控える。活動の幅を広げる彼女は、コロナ禍初期からオンラインライブを実施したり、NFTアートに関するプロジェクトに参加したりと、テクノロジーと連動した表現の可能性を常に押し広げている。

10月9日(土)には、ラジオ局J-WAVE(81.3FM)が開催するテクノロジーと音楽の祭典「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI」(以下、イノフェス)へ出演を予定。バンド形式でテクノロジーを駆使したステージを披露する。

テクノロジーで実験したいという意思を持ち、最先端の技術をチェックしているという彼女が衝撃を受けた映像とは? 創作活動への想いからイノフェスへの意気込みまで語ってもらった。

映画『Ribbon』は “区切り”をつけるための作品

――のんさんは、俳優・歌手・アーティストと精力的に活動されています。いま一番楽しみにしていることは何ですか?

のん:上海ではすでに映画祭で公開されましたが、私が撮った長編映画『Ribbon』が来年初めて劇場公開されるんです。それがすごく嬉しくて、「もっとできるな」っていう感触も自分にあって。これから映画を撮ることを突き詰めたいなって思っています。

のんが脚本・監督・主演を務めた初の劇場長編作品。コロナ禍で表現の術を奪われた美大生がアイデンティティを取り戻す、“再生”の物語。2022年公開。

――コロナ禍初期に映画『Ribbon』の構想を練り始めたそうですね。当時といまを比べると、世の中の状況がさらに変わりました。変化をどのように感じていますか?

のん:今はマスクがスタンダードになりましたよね。昔の映画とかを観ると、密集しているシーンもあるじゃないですか。その時代では絶対大丈夫だったのに、今の感覚で観るとすごく怖く見える。その変化にビックリします。

『Ribbon』の脚本は、1回目の緊急事態宣言中に書きました。自分主宰のフェス「NON KAIWA FES vol.2」を中止した悔しさがすごくあったので、美大生だけじゃなくて同じような悔しさを味わった人が世界中にいるなと思ったんです。そういう気持ちが、どうにか救われる作品になったらいいなって。今はそのときの気持ちは薄れているかもしれないけど、なくなってはいないはずで。なくなっていないままズルズル来ていて、ちゃんと自分の中で区切りをつけられる、そういう作品になったらうれしいです。

撮影自体も密集しないようにキャストがすごく少ないんです。家族と会うシーンも2人しか映っていないですし、友だちと話すシーンもほとんどテレビ電話みたいなものにしていました。

――のんさんがナビゲーターを務めるラジオ番組『TOPPAN INNOVATION WORLD ERA』がスタートしてから、10月で1年半が経ちますね。毎回さまざまな表現者の方がゲストで登場して、創作活動への想いなど興味深いトークを繰り広げます。いま番組に対して感じていることは何ですか?

のん:本当にいい番組だなと感じています。2年目に入ってから、ゲストの方がいま活躍しているステージの扉を開いた「突破ストーリー」を聞くパートができたんです。そこがすごく好きで。切り開いてきた方々のお話は全部面白くて興味深いんです。毎月濃密なお話が聞ける、すごいラジオだなって思っています。

――ゲストの突破ストーリーは、自身の創作活動にも影響しますか?

のん:直接表現が変わることはないかもしれないですけど、自分が活動していく上での考え方の比較や共感ができて、すごく役立っている気がします。私は創作活動からの視点で共感したり感動したりするけど、どんな人にも伝わる突破ストーリーのときもあるんです。そういうときは本当に「全員に聴いてもらいたい!」と思いますね。

「テクノロジーと生身の人間がぶつかるステージを観てほしい!」

――「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI(通称イノフェス)」への出演も決まりました。テクノロジーと音楽をテーマにしたイベントということで、日頃の表現・創作活動において、テクノロジーとの関わりを意識されたりしますか?

のん:やっぱりすごく意識しています。配信ライブも結構初期の方で始動することになったんです。テクノロジーで実験したいというか、最先端に飛びつくようにしています。今はXRに興味があって、MVやライブで挑戦してみたいです。ケイティ・ペリーがやっていたものがすごくかわいくて衝撃を受けました。

ケイティ・ペリー XR映像(Live From American Idol Finale, May 17 2020)

――今年の「イノフェス」はリアルとオンラインのハイブリッド開催です。オンライン視聴券購入者は、生中継でARの演出が楽しめるんですよね。

のん:そうですね、ぜひオンラインでも楽しんでもらいたいです! ARとのコラボ演出で“驚き”が作れたらいいなと思っています。

――のんさんの「イノフェス」出演は今年で2回目です。10月9日(土)のステージでは、 ARを使って3D化した自身の創作キャラクターと共演するそうですね。キャラクターのコンセプトは?

のん:映画『Ribbon』もそうですが、今年は自分の絵でもリボンをモチーフにしています。もともとずっと描いてきたモチーフだったんですが、今年は特にそれに集中していて。「イノフェス」でも、恐竜とリボンを合体させたキャラクターを動かします。ARで「恐竜がステージに来た!」という驚きと、そこに「のんが負けてない!」ってところを見せられたらいいなと思います。自分は恐竜より何倍も小さいのに、ARの恐竜より大きく見える力強さを見せられたらいいなって思います(笑)。

――当日はバンド形式のステージになりますね。

のん:先日まで宮藤官九郎さんの『大パルコ人④マジロックオペラ「愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」』に出させていただいたんですけど、毎日力一杯動きながら歌って、ギターを弾いて……めちゃくちゃ上手くなったなって思っていて。男性キャストと同じ音域で歌わないといけないから、低音もよく出るようになったんです。「イノフェス」のステージでは、パワフルな歌声をお届けできると思います!

――最後に「イノフェス」への意気込みをお聞かせください。

のん:テクノロジーとの融合って本当にすごくワクワクするし、今時だなって思うんです。私もすごく楽しみにしています。ARのキャラクターを動かしてもらう試作品を見ていると、「この子と一緒にステージに立てるんだ!」というのが楽しくて。テクノロジーと生身の人間がぶつかるというところがすごくいいですよね。テクノロジーで巨大な恐竜が出てきても強い存在感でいるところを見せたいですし、のんが音楽で進化したところを見せたいと思っています!

「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI」は、10月9日(土)、10日(日)に開催。現在オンライン視聴チケットが好評発売中。のんは、9日(土)に出演する。9日(土)はほかにも、ASIAN KUNG-FU GENERATION、LMYK、ジャルジャルなどが出演。詳細は公式サイト(https://www.j-wave.co.jp/iwf2021/)まで。

(取材・文=市來孝人)