音楽プロデューサー/ベーシストの亀田誠治と、デビュー15周年を迎えたシンガーソングライターの秦 基博がJ-WAVEで対談。秦のライブアルバム『BEST OF GREEN MIND 2021』を聴きながら、アルバムやライブのこだわりや、デビューの頃について語り合った。

二人が対談したのは、亀田がナビゲートする番組『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』(月曜〜木曜 21:50-22:00)。毎週ゲストが1枚のアルバムを携えて登場。キリンのクラフトビール「スプリングバレー 豊潤<496>」を亀田と飲みながら、音楽やライフスタイル、こだわりなどを語る番組だ。

【オンエア日:2021年12月13日から12月16日】

自分の評価と他人の評価が違うことは…

まずは乾杯。リラックスした雰囲気の中、アルバム『BEST OF GREEN MIND 2021』について深堀りしていく。

亀田:これは、どんなアルバムなんですか?

秦:今年の4月から8月にかけて全27公演行った弾き語りライブ「GREEN MIND 2021」から、それぞれの曲のベストテイクをセレクトして、セットリスト順に並べたライブアルバムなんです。

亀田:ということは、あたかもライブで聴くようにベストテイクが聴けるんですね。映像も出ているんですか?

秦:そうです。映像は渋谷公演をパッケージしたんですが、ライブCDは全27公演から選びました。

アルバムに収録されたのは全19曲。主観的になりすぎないように、スタッフと相談しながら選曲したのだとか。「自分の評価と周りからの評価のズレを感じることがある」という秦に、「そこは“えくぼ”だよ」と亀田は言う。

亀田:僕は歌のディレクションをするとき、「えくぼは自分じゃ見えないでしょ?」と言うんです。

秦:なるほど。僕はキャリアの初期の頃にそれを教えていただいたこともあって、やはり客観性が大事だと思っているんです。だからライブのテイクを選ぶときも、周りの意見を参考にしました。

亀田:秦さんは、マネジメントやレコード会社の方々にとって、一緒に仕事のしやすいアーティストさんですね。

秦:教育されたアーティストですね(笑)。

アルバムの元になったツアー「GREEN MIND 2021」は弾き語りの有観客ライブ。ギターと自分の身体ひとつでステージに上がる秦にとって、有観客ライブは、グルーヴや波動の違いを感じたそうだ。

秦:弾き語りの無観客ライブだと、本当にひとりでやっていることになっちゃうんです。でもお客さんと一緒にうねりを作り上げていったとき、「ああ、これがライブだよなあ」と感じました。

亀田:あとは、拍手だよね。僕もこの頃は有観客でライブを始めていますけど、拍手が聴こえてくると「ああ、音楽やっててよかった……」と思います。

秦:本当にそうですね。

亀田:声が出せない状況でも、拍手があると救われる気持ちになりますよね。

秦の弾き語りライブの「神々しい」ところ

昔から、秦のライブを数多く観ているという亀田。秦の弾き語りには、抜群の安定感を感じるのだという。

亀田:ギターのアルペジオの粒も揃っていて。普通、みんなどこか危なっかしかったりトチったりするんだけど、いつも安定してる。いろんなライブアレンジにするための工夫はしているんですか?

秦:一番はリズムですよね。アコースティックギターが持っているリズムのパターンはそんなに多くないので、8ビートや16ビートの引っ掛け方は工夫しています。あとは、どうやって引き算するか。歌とアコギの最大音量は決まっているので、「ここがMAXだとしたらどこをいちばん小さい音にするか」という逆算をしています。

亀田:それはすごいこだわりですよね。ひとりオーケストラじゃないけれど、ピークを1曲の中だけじゃなくて、ライブのセットリスト全体の中で組み立てていく。

秦:一番小さなシンプルな音は「声だけ」で、それは武器だけど、多用はできないんですよね。

亀田:「また声だけ?」ってなっちゃうから(笑)。

秦:(笑)。だから、2時間あれば「声だけ」は1回だけですね。逆にMAXの音は、最近はルーパーを使って低音感を出しているので、そこで落差を出せるんです。

このルーパーを使っているときの秦の演奏が見事で、「神々しい」と亀田は言う。

亀田:もう、手と足、八面六臂の活躍で。すごいなあと思って。

秦:必死ですけどね(笑)。

亀田:間違ったりしないんですか?

秦:間違えちゃって、もう1回やることもありますね。あと、ちょっとテンポを速くしすぎてしまったり。「やっべ、速いなあ……」とか思いながら演奏しています。

亀田:まあでも、そういうのも含めてライブですよね。

秦が音楽シーンに登場したときの印象

2021年でデビュー15周年を迎えた秦。デビュー当時のことは、あまり覚えていないという。

秦:でも、とにかく必死だった感覚だけは残ってるんです。

亀田:僕は秦さんのデビューを、平井 堅ちゃんからの連絡で知ったんですよ。「すっごい声のボーカリストが出てきたよ。嫉妬しちゃう」と言っていて。

秦:へえー! そうだったんですか!

亀田:デビューシングル『シンクロ』のときで、「鋼とガラスでできた声」というキャッチコピーがついていましたよね。本当に印象的な声で、ラジオでもたくさん流れていて、僕もすごいシンガーソングライターがでてきたと思いましたね。

そして2作目の『鱗(うろこ)』制作時に、亀田と秦は出会うことになる。

秦:初めて亀田さんにお会いした『鱗(うろこ)』の頃は、ギターを弾いて歌いながら作っていたんです。それはもちろん今でもやるけれど、最近は他のやり方をすることも増えてきました。先にドラムを打ち込んでリズムを作ってみるとか、鼻歌で書くとか、歌詞を先に書くとか、ピアノでコードだけ鳴らしてみるとか。

亀田:おうちで宅録みたいなことも?

秦:そういうのもだんだん覚えてきて、Pro Toolsを使ったりもしています。

亀田:『鱗(うろこ)』のデモテープはギター1本でしたもんね。

『鱗(うろこ)』レコーディング時のことを、2人は次のように回想する。

秦:亀田さんのスタジオに仕上がったアレンジを聴きに行って、イントロのピアノが鳴った瞬間のことは本当に覚えています。すごいことが起きている、『鱗(うろこ)』が今新しい命を宿したんだ、と感じたんです。それを実際にレコーディングしたときのことも覚えています。

亀田:「すぐに録ろう!」って僕、言ってましたよね。

秦:はい。亀田さんとレコーディングの現場をご一緒するのも初めてだったから、亀田さんはすごく早く録りたい人なのかなと思っていました(笑)。

亀田:なんだか、レコーディングのメンバーがもうあったまって、仕上がっている感じがしたんですよね。実際、早く録れてね。一緒にアコギも弾いてね。

秦:その瞬間、僕、トイレ行ってて(笑)。「あれ? あいつがいない! どこ行ったんだ?」って。

亀田:そうそうそう(笑)。

お客さんの前でライブができる喜び

オンエアは2021年の12月ということで、1年間を振り返ってもらった。秦にとって2021年は「ライブの年だった」という。

秦:弾き語りツアーもそうですし、秋には15周年ライブもあって、お客さんの前でライブができる喜びをすごく感じた年でしたね。

亀田:僕の見た横浜アリーナでの弾き語りライブも、お客さんの前で歌える/演奏できる喜びを秦さんが全身で表現しているのと、お客さんがそれを笑顔と拍手で受け止めていて、本当に素敵でした。秦さんのコンサートのオーディエンスは、善人しかいないだろうというくらい、むちゃくちゃ良い空間で。僕は妻と観に行ったんですけど、一緒に手拍子なんかしちゃってました。

秦:ありがとうございます。

秦 基博の最新情報は公式サイトまで。

番組ゲストに浦沢直樹が出演中

J-WAVE『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』は、月曜から木曜の21:50-22:00オンエア。1月3日(月)〜6日(木)のゲストは漫画家・浦沢直樹。放送から、一週間後まではradikoでも聴くことができる。

■『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/original/mycrafttime/

3日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220103215000
4日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220104215000
5日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220105215000
6日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220106215000

<編集:ピース株式会社/構成:山田宗太朗>