神出鬼没な音楽家である長岡亮介。ペトロールズや東京事変、星野源のサポートなど現在の音楽シーンには欠かせない存在でありながら、最近はドラマへの出演など多方面で活躍を続けている。

そんな長岡は、J-WAVEにて自身初となるラジオ番組『CITROËN FOURGONNETTE』(毎週土曜22:00〜22:54)のナビゲーターを担当。東京都内のどこかにある“特別な場所”=「新しいカルチャーが生まれる場所」から、長岡が時にはモノローグで、時にはゲストを迎えて、大人のライフスタイルを提案する番組だ。今回はそんな長岡にラジオへの思いや最近の活動について、そして生業とする音楽についてなどたっぷりと話を聞いた。

・NAVIGATOR’S VOICE
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ラジオ収録は「慣れるまでもう少し」

――ついに『CITROËN FOURGONNETTE』がスタートしましたね。長岡さん初となるラジオ番組ですが、率直に依頼が来たときどういった思いだったのでしょうか。

ラジオ番組ってきちんとした人間しかできないんじゃないかなと思っていて(笑)。自分がリスナーのお便りを読んだりすることができるのかなって思ってました。僕はいい加減な人間だから、そんなことしていいのかなって(笑)。

――4月2日に初回の放送を迎え、何度か収録を重ねていますが慣れてきましたか?

ちょっとだけ。慣れるまでもう少しですかね。

――まだ少し恥ずかしさみたいなものがあるのでしょうか。

うーん、恥ずかしいというか、まだ自分の中で正解が見つかってないので。もうちょっとしたら余裕が出てくるのかもなと思ってます。

――もともと、お話するのがお好きだったり、得意だったりする方ですか。

いやあ、得意ではないと思いますよ(笑)。話術があるタイプではないと思います。

――これまでラジオは聴いてこられていたんですか?

子供の頃は毎朝タイマーでJ-WAVEが流れて、目覚まし代わりになってましたね。最近だと、ちょうど車に乗っているタイミングで流れていることが多いアルフィーの3人がやっている番組は聴くことが多いです。仲良し感が面白いんですよね。他局ですけど(笑)。

冷静に聴けなかった初回放送。ペトロールズメンバーの反応は?

――長岡さんは初回の放送をペトロールズのツアーの道中で聴いたとのことですが、自分の番組を聴いてみていかがでした?

冷静には聴けないですよね(笑)。ただ車の中で流れているっていうのはこういうことなんだと思って、聴いてはいましたけど。

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――収録は、都内某所にある長岡さんにとっての特別な場所、「FOURGONNETTE」(フルゴネット)で行われていますね。メンバーの皆さんの反応はいかがでした?

フルゴネットで喋れてるのがいいよねって言ってくれました。スタジオではなく、ここで喋れているというのはナチュラルな感じが出てるねって。

――『CITROËN FOURGONNETTE』の特徴はまさにその部分だと思うんですが、長岡さんにとって、フルゴネットとはどんな場所なのでしょうか。

このラジオもそうですけど、何か新しいものを考えたり、作り出していく場所だと思います。このラジオもそうだし、音楽もそうだし。自分が素になれる場所ですかね。気を遣わなくてもいい場所だと思うし、そういう精神状態じゃないと面白いアイディアも生まれないと思うんですよね。

――今後、『CITROËN FOURGONNETTE』でやってみたい企画などはありますか?

いろんな人とたくさんお話してみたいですね。それは業種問わず、例えば漁師さんとか。自分が知らない世界の人の話を聞けたらいいなと思いますね。

――工場見学や出張企画があっても面白そうですね。

やりたいですね。出張企画、ぜひやりましょう。

ドラマ出演で感じた音楽活動との共通点

――最近の活動を振り返ると、音楽だけでなくドラマへの出演など多方面で活躍されている印象を受けます。特にドラマに関しては、「あの、長岡亮介が!?」と歓喜しているファンの方も少なくないと思うのですが、ドラマに出演してみて受けた刺激はありましたか?

俳優さんたちと交わってみて、こういうことが出来る方々がいるんだなと。あと皆さんがすごく作品を大事にされているなってすごく思ったんですよ。それは俳優だけじゃなく、撮影現場にいるすべての人たちのこだわりが細かいところまで貫かれている気がして。作品がいちばん大事というか、いいものを作ればきっとみんなが観てくれるだろうという気持ちを感じたんですよね。それがすごくいいなって思いました。自分が作る音楽もそういった考えのもとに作ってるから。

――ご自身の音楽と通ずる考えがあったんですね。

そうそう。流行りや目先の事だけではなくていいものを作るということこそが大事なんだということを同じように考えているんだなと。それがすごくいいなって思いました。

――ドラマ出演やラジオ番組のスタートをすることになるって想像していましたか?

してないですよ(笑)。全然想像してなかった(笑)。ラジオをやることも想像してなかったですよ。 【関連記事】ペトロールズ・長岡亮介「ブームになりたくない」仕事観を明かす

「音楽って気分でいい」ライブアレンジのこだわりは

――音楽面では、現在ペトロールズはツアー中ということでさまざまなことと並行して精力的に活動をされていますが、今後の音楽活動でやってみたいことはありますか?

ライブをやりに、はやく海外に行きたいですよね。

――いいですね。 行きたい国はありますか?

それはどこでもいいです。でも、皆さんから「ヨーロッパとかで絶対人気が出ると思うよ」って言われることが多いので、行ってみたいなと思ってますね。

――ちなみに新譜のご予定は?

新譜作りたいんですよ! 今年! でも、ラジオが忙しいから難しいかも……なんつって(笑)。でもやっぱり曲は作りたいですからね、頑張りますよ。

――長岡さんが曲を作るときって、どのように作っていくのでしょうか。

それは、いろいろなんですよね。でも、ペトロールズの場合はビート。ビートというか速さとかリズムのイメージからっていうパターンが多いです。

――なるほど。ペトロールズの曲やライブに行くと、毎回、同じアレンジは存在しないなと思うんです。

あはは(笑)。それは同じにできないだけというか、そのつど、ちょっと変わっちゃう感じがあるんですよ。

――そのアレンジの妙が素晴らしいというか。それは、長岡さんの「同じものにしたくない」という気持ちがあるからなんですか?

なんて言ったらいいんだろう。音楽って気分でいいと思うんですよ。演奏を生でやっているなら、演奏も気分で変わってもいい。もちろん変わらない方がいいこともあるけど、いかにリリースした音の体験をライブで再現するかっていう考えが多い気がしてて。それって曲を限定してるなって思うわけですよ。確かに、逆に期待を裏切ってる可能性もあるんですけどね。「あの曲のこういう感じが聴きたかったのに、全然違うじゃん」って(笑)。でも、それはそれで、そういうもんなんだよって分かってもらえたらもっと面白くなるんじゃないかなって思うんです。機械が演奏しているわけじゃないんだし。音楽家の気分というか、「今日はちょっと盛り上がってるな」とか「調子よさそうだな」とか。そういうものがあってもいいと思うんです。

――そういう考えの若いバンドも増えてきたような気がします。「音源を聴かせるためのライブではないし」みたいな。

いいですね、やっぱり盛り上がりますよね。好きな曲がまた少し違った角度で聴けるっていうのは。

――では、その自由な考えのもとラジオもやっていかれるんですね。

そうですね。だってそれしかできないですもん(笑)。

聴くと“いつもと違う感情が動く”おすすめの一曲

――最後になりますが、このJ-WAVEナビゲーター連載では毎回、おすすめの音楽を1曲うかがっています。長岡さんがリフレッシュするときに聴く楽曲は?

いつもリラックスばっかりしているから、アレですけど、ウィリー・ネルソンの「The Last Letter」ですかね。とても渋い曲ですけど、侘しさが良いなと。で胸を軽く締めつけられるような感じというか。いつもはあまり感じることがない種類の感情を音楽から感じることによって、バランスが取れるというか、傾いていた気持ちがフラットになる感覚がありますね。すごくいい曲です。



(取材・文=笹谷淳介)

長岡亮介 プロフィール

神出鬼没の音楽家。ギタリストとしての活動の他にもプロデュース、楽曲提供など活動は多岐にわたる。
「ペトロールズ」の歌とギター担当。