常備野菜として重宝するタマネギ。植え付けから収穫まで半年程度かかりますが、病害虫の被害が少なく、栽培にさほど手間もかかりません。ベランダでできるプランター栽培の方法を紹介します。
用意するもの
タマネギの苗
プランター(深さ20cm以上のもの)
野菜用培養土
鉢底石
化成肥料
移植ごて(小型の園芸用シャベル)
【あると便利なもの(古い培養土を使う場合に混ぜる)】
苦土石灰
燻炭
タマネギの栽培は苗、種または種球(しゅきゅう)から選べる
タマネギの栽培は苗、種、種球(「オニオンセット」、「ホームタマネギ」などの名前で売られている球根)から育てる3種類の方法があります。もっとも一般的なのは苗からで、10〜11月に植え付けると翌春に収穫できます。種からの場合は9月中旬〜下旬にまくと苗からと同じく翌春に収穫ができ、種球からの場合は、7〜8月に植え付ければ、年内に収穫できます。
今回は苗から育てる方法を紹介します。
苗選び
根元の直径が7〜8mm程度と、鉛筆程度の太さのものを選びます。それより太いと、早く生長しすぎてとう立ち(※)し、収穫したタマネギがかたく、食感が悪くなります。逆に細いと、霜で枯れてしまうことがあります。
成長して花芽を付けること。
植え付け
プランターに鉢底石と培養土を入れて植え付けます。株間を10〜12cm取り、白い部分の中間くらい(根元から2〜3cmくらい)の深さに植え付けます。終わったら、苗が倒れないように移植ごてで根元に軽く土寄せし、やさしく押さえます。
植え付けのコツ
タマネギの苗は浅く植えるのがポイントです。深すぎると球が成長しにくくなってしまいます。ただし、根は表面に出さないこと。これがタマネギを大きくおいしく育てるコツです。
プランターの底から水が流れ出るくらい水をやり、2〜3日は日陰に置き、その後日当たりの良い場所に移します。
越冬のポイント
冬の間も土が乾燥したらたっぷり水をやります。できるだけ暖かな午前中に行いましょう。
枯れ葉取りと追肥
下葉が枯れると病害発生の原因になることがあるので、取り除きます。1〜2月上旬は1カ月に1回、2月下旬からは2週間に1回の割合で、10g程度の肥料をまきます。
収穫
球が大きく丸くなって、茎が倒れ、まだ葉に緑色が残っている頃が収穫期です。晴れた日に、根元をつかんで株ごと引き抜いて収穫します。
memo
葉が完全に枯れてから収穫すると、球が腐りやすくなってしまうので、枯れる前に収穫しましょう。
収穫後の保存
収穫してそのまま風通しの良い場所に並べてよく乾かし(晴れていれば半日くらいで乾きます)、葉を切ってダンボール箱などに入れ、風通しの良い所で保存します。
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葉を切らずに5〜6株ずつまとめてひもで束ね、風通しの良い日陰で吊して保存すると、さらに乾燥させることができ、貯蔵性が高まります。
最後に
採れたてのタマネギを味わってください。

藤田 智
恵泉女学園大学教授・副学長1959年秋田県湯沢市生まれ。宮澤賢治に憧れ、岩手大学農学部に入学し、同大学院修了。向中野学園高校教員、恵泉女学園園芸短期大学助教授を経て、現職。専門は、園芸学、野菜園芸学。野菜栽培に関連する著書は140冊を超え、「NHK 趣味の園芸 やさいの時間」や日本テレビ「世界一受けたい授業」などのTVにも多数出演する。家庭菜園や市民農園の指導、普及活動を通じて、野菜づくりの楽しさを広げる取り組みを行っている。
ホームページ
[タマネギ]栄養と、冷凍&冷蔵&常温保存や、選び方、切り方も
![[タマネギ]栄養と、冷凍&冷蔵&常温保存や、選び方、切り方も](https://www.kagome.co.jp/library/vegeday/img/vegetables/img_onion_main.jpg)
特有の辛みやにおいのある、タマネギ。そんなタマネギに含まれる成分の1つである「ケルセチン」はポリフェノールの一種です 。また、炒めたタマネギは、うま味成分であるグルタミン酸を含んでおり、料理をいっそうおいしくする薬味としても効果を発揮します。
最終更新:2023.03.28
文:アーク・コミュニケーションズ
撮影:谷山真一郎
監修:藤田智、カゴメ
参考文献:
『野菜とハーブのプランター菜園』藤田智監修(ブティック社)
『NHK趣味の園芸 やさいの時間 藤田智の 野菜づくり大全』藤田智監修 NHK出版編(NHK出版)