宮城県大崎地方で、農地に設置された太陽光パネルの下部空間を使ったキクラゲ生産が始まった。農地を活用した太陽光発電の副産物として生まれた栽培方式。キクラゲは中国産が大多数を占めており、生産を担う現地の農業生産法人は「農電連携」による国産の量産を目指す。

 生産の拠点は登米市と同県加美町の2カ所。太陽光発電所はいずれも再生可能エネルギーが専門のサステナジー(東京)が整備し、今秋からの売電を予定する。パネル数は登米市の発電所が7400枚、加美町は6280枚。現地の農業生産法人が各施設を借りて栽培する。
 品種は肉厚で食感が良いアラゲキクラゲ。太陽光パネルの下に菌床を重ねて置き、シートで密閉してハウスのような空間をつくる。収穫は主に7〜10月。初年の今年は、既に6月末から一部収穫が始まっている。
 2カ所にそれぞれ菌床を4800ずつ置き、今年は計約9.6トンの生産を見込む。来年はそれぞれ菌床を2万に増やし、計約40トンの出荷を目指す。プロジェクトの総事業費は12億円。
 新しい形の菌類生産は、農地での太陽光発電所単体での整備が農地転用の問題で難しいことから、営農可能な「営農型発電」を模索したのが契機。日陰となるパネル下での栽培に向く作物を探し、キクラゲ生産に絞り込んだ。
 国内で流通するキクラゲは9割が中国産で乾燥したものがほとんど。歯応えがある生の国産キクラゲは「首都圏の中華料理店をはじめ、外食産業への売り込みも期待できる」(流通関係者)という。生産販売管理会社イマジン・ジャパン(栗原市)を立ち上げ、主に関東圏への出荷を狙う。
 関係者による試食会の評判は上々だった。加美町での生産を担う農業生産法人「アグリ古川農産」(大崎市)の加藤善市社長(62)は「農地を転用せずに太陽光発電事業が可能になる上、キクラゲの生産は新規参入で販売を伸ばせる可能性がある」と期待。増産体制を整える一方、キクラゲを使った地元での6次化商品の開発にも意欲を見せる。