太平洋の荒波が打ち寄せる三陸のリアス海岸。険しい岸壁の上にポッカリと青い水面(みなも)が輝き、子どもたちの歓声が響く。
 岩手県久慈市の「侍浜海水プール」は巨大な天然の岩をくりぬき、海の水をポンプで引いた珍しいプール。海はすぐそこ。なのに砂浜がなくて泳げない子どもたちのために、市が1986年に造った。いまやインターネットで広まり、地元の人より観光客が多いほど。
 縦25メートル、横15メートル、深い所で水深1.5メートルとサイズは十分。「波が高いと海水浴場が閉鎖されるから、かえって混み合う」と監視員の川戸金男さん(75)。
 タコや魚を放して子どもたちに楽しんでもらったこともある。岩の隙間にタコが入り込み、後で引っ張り出すのに苦労したという。
 「学校のプールよりずっとわくわくする」と泳ぎに来た子どもたち。大海原を見渡すワイルドなプールは、ひと夏の思い出をプレゼントしてくれた。
(文と写真 写真部・庄子徳通)

<メモ>
2011年の東日本大震災では、侍浜海水プールも津波に見舞われた。一部が損壊したものの、その年の夏には復旧し泳ぐことができた。利用は7月中旬〜8月末。海水が濁った場合などは休み。無料。問い合わせ先は北侍浜野営場0194(58)3855。