仙台藩祖伊達政宗の生誕450年となる節目に仙台市内で開幕した仙台七夕まつり。今年も豪華な竹飾りが市中心部の各商店街をにぎやかに彩る一方で、昔ながらの手作りは年々数を減らしている。時代に流されず「原点」を守る人たちに、仙台七夕に込めた思いを聞いた。

 名掛丁商店街の大正園は政宗の甲冑(かっちゅう)姿や陣羽織をイメージした5本の吹き流しを手作りした。家族と共に茶・和雑貨の老舗を営む佐藤英久子(えくこ)さん(52)は「人の手をかけた飾りは訴える力がある」と見上げた。
 子どもの頃、夏は家の中にあふれる作りかけの飾りの下で昼寝をした。「どんな飾りにするかは商店街の間でも秘密。競争意識があった」。創意工夫と手間が市民を楽しませた。
 現在、市中心部の6商店街に並ぶ304基の大型竹飾りのうち、各店が手作りするのは「2、3割」(商店街関係者)という。
 この数十年、仙台は発展を遂げる一方で全国チェーンの進出が相次いだ。地元資本の商店も経営スタイルの変化などを機に制作を外注するようになり、七夕の個性が薄れているとの指摘が少なくない。
 一番町四丁目商店街にある菅原酒店の社長菅原克枝さん(70)も政宗をモチーフに手作りした。「先祖は伊達家の家来。商売しながら飾りを作る苦労は並大抵ではないが、七夕を次代に継承しなければならない使命感がある」
 今年は政宗が誕生して450年だが、藩が七夕を奨励したことを記録する文献はない。ただ、政宗が七夕を詠んだ和歌は8首が残っており、題材としては名月や正月と並んで多い。
 仙台七夕まつりは昭和に入って各商店街が競って年々盛大に催し、東北を代表する祭りになった。東日本大震災後は、祈りの場としても見直された。
 大正園の佐藤さんは、七夕飾りの制作に実に2カ月半を費やした。あえて友人や知人に協力してもらって完成させたという竹飾りは6日、飾り付け審査で3年連続の金賞に輝いた。
 市中心部商店街活性化協議会の会長を務める山崎浩之さん(69)は「経済や社会の情勢変化から伝統の維持が難しい今こそ、市民参加の機会を増やすなどしてもっと親しんでもらう必要がある」と語る。