サンマ漁の漁期到来を前に、三陸からもサンマ漁船が北海道沖に向けて続々と出港している。漁期入りに先立って水産庁は、過去最低だった前年の漁獲量をさらに下回るとの見通しを発表。漁獲不足や魚価高騰が現実味を帯びる中、水産関係者の表情は厳しい。

 岩手県大船渡市三陸町の綾里漁港から6日、サンマ漁船「第7稲荷丸」(19トン)が出港した。小型漁船によるサンマ漁が始まる10日以降、北海道沖のロシア海域で操業する。東北からは8月中、中型、大型漁船計48隻が順次、出漁する。
 昨年は漁場が水揚げ港から遠くなった影響で操業効率が悪化。例年40〜50回の水揚げが三十数回にとどまった。船主の千葉幸男さん(64)は「漁模様を気にせず、頑張るしかない」と語り、船に乗り込んだ。
 水産庁によると、10月上旬までのシーズン前半は前年の漁獲量を上回るが、12月までの漁期全体では下回る見込みだという。
 「極端な不漁の際は発送を中止せざるを得ない場合があります」。大船渡水産物商業協同組合は、7日に予約受け付けを始めた恒例「さんま直送便」のちらしに注意書きを付け加えた。
 組合理事長の佐々木英一さん(74)は「赤字をかぶってまで直送便を続けられない」。ここ数年の販売価格上昇に加え、今年は宅配料金が引き上げとなる。サンマ高騰で消費者の買い控えも懸念される。
 炭火焼き、竜田揚げなどの加工品を製造する森下水産(大船渡市)では、昨年、一昨年とサンマ取扱量が半減。雇用を維持するため、利幅の薄い別の魚種を原料に工場を稼働してきた。
 社長の森下幹生さん(68)は「サンマ輸送、資材調達など幅広く地域経済を循環させるためには、十分な漁獲量が重要」と強調する。
 三陸はスルメイカ、サケなども不漁で深刻さが増す。大船渡湾冷凍水産加工業協同組合の代表理事でもある森下さんは2日、国際的な資源管理、原料の安定確保策などを国に要望した。
 「当面、低水準が続くとみて対応しなければならない」と語る森下さん。サバなど他の魚種を使った商品開発や原料の輸入を進める考えだ。

[日本のサンマ漁獲量]1970年代はおおむね20万〜30万トンで推移したが、2010年以降は減少傾向にある。15、16年は約11万トンと2年連続で過去最低を記録。このため10キロ当たりの単価は2100〜2200円台となり、14年の倍値近くに高騰した。台湾は漁獲量で日本を逆転。中国の漁獲量も急増している。日本は7月、国際会議で国別漁獲上限の設定を提案したが合意に至らなかった。